働く広場2021年1月号
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働く広場 2021.1うになっています。イ個別相談モデルにおけるSOCCSS法の援用 ほかの問題解決方法の中には、解決のイメージ(目標)を立てることで解決に向けた行動をうながすものもあります。集団場面で実施する問題解決技能トレーニングでも、複数の受講者がいて、解決する方向性を統一しないと議論が噛み合わなくなるため、テーマとする問題に対して解決のイメージや問題の原因を定める形式にしています。しかし、個別相談場面で対応する発達障害者のなかには解決のイメージを設定したり、問題の原因を検討することがむずかしい方も少なくありません。本来、SOCCSS法は、解決のイメージや問題の原因を事前に特定しなくても、起こった問題場面をもとに支援者とともに状況を分析しながら解決に向けて行動できる枠組みとなっています。個別相談モデルでは、より本来のSOCCSS法に近い形で 障害者職業総合センター職業センターでは、発達障害のある方を対象としたワークシステム・サポートプログラム」を実施しながら、発達障害の特性に応じたきめ細かな支援を行うための技法開発・改良を行っています。開発した技法の一つである「問題解決技能トレーニング」は、発達障害に起因する職業上の課題について、受講者自らが問題の発生状況や原因を把握し、現実的な問題解決策を選択できるようにすることを目的としたトレーニングです。トレーニングの詳細は、平成24年度支援マニュアル№8「発達障害者のための問題解決技能トレーニング」としてとりまとめ、全国の支援機関等に配布するなど、その普及に努めてきました。その結果、各地域障害者職業センターをはじめとする障害者就労支援機関での活用が浸透しつつありますが、支援マニュアルでは、集団場面(グループワーク)における実施方法を中心に紹介しているため、支援現場からは一対一の個別相談でも活用できるとよいという要望をいただくことがありました。そのため問題解決技能トレーニングを個別相談場面で活用できるよう改良を行い、実践報告書№34「問題解決技能トレーニングの改良」としてとりまとめましたので、成果物の概要について紹介します。ア 問題解決技能トレーニングの枠組み 個別相談モデル、集団場面での実施、どちらにおいても問題解決技能の枠組みは、米国で開発された発達障害者のためのSOCCSS(ソックス)法を援用しています。SOCCSS法は、状況把握、選択肢、結果予測、選択判断、段取り、事前試行の枠組みで構成されており(図)、社会的場面の因果関係の理解や、問題解決スキルの育成の手助けができるよ発達障害者のワークシステム・サポートプログラム問題解決技能トレーニングの改良障害者職業総合センター職業センター【個別相談モデルの特徴】図 SOCCSS法実施の流れ28

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