働く広場2021年2月号
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働く広場 2021.2システムでは80%の出社率でした。私たちにとっては「通勤することが健康につながる」こともあるからです。特に身体障害のある人の場合、在宅勤務が続くと逆に体力低下の恐れがあります。私自身も週2~3日出勤しています。マイカー通勤なので移動中のリスクも低いのです。――いまでは精神障害のある社員もいますね。職場で工夫されていることはありますか。 5年前から精神障害のある社員の採用が始まり、現在7人になります。受入れ側の職場では全体研修を行ったほか、新入社員には相談しやすい先輩社員を1人決めています。外部でカウンセリングを受けられる制度も新設しました。定期的に通院しなければならない社員向けの休暇制度もあります。これは特例子会社のよさだと思っていますが、就業規則を柔軟に変えられるので、必要だと思ったら職場内のみんなですぐに決めることができます。 また年1回、会社側が本人から、自分の障害について周りに知っておいてもらいたいことや配慮してほしいことなどを聞いて、みんなに伝えるようにしています。精神障害があり、「努力はしていますが、突然休んでしまうことがあります」と申し出た社員もいます。 実際に体調不良で急に休んでも、だれも気にしていないのではないでしょうか。というのも私たちの職場は、もともと小規模のうえに障害者が大部分を占めているので、この30年余りで、何でもいい出しやすい環境になっているのではないかなと思っています。 ――橋本さんは、全国アビリンピックで2014年は「表計算」、2016年は「建築CAD」で金賞を受賞され、今年も「ワード・プロセッサ」に出場されました。 アビリンピックは、2007年に静岡で国際大会が開催されたとき、会社の創立20周年記念の旅行を兼ねて視察に行き、初めて競技内容を知りました。さっそく翌年から県大会に出場することにしました。最初は「ワード・プロセッサ」に挑戦したのですが仕事であまり使っていないこともあり、なかなか成績が伸びませんでしたね。その後、追加された「表計算」に種目を変更したところ、2014年の全国アビリンピック愛知大会で金賞になりました。 驚いたのは、このニュースが社内報に掲載されて一躍有名になり、玉野総合から入力作業や報告書作成などの業務が舞い込むようになったことです。社員の人たちは「特例子会社って、どんな仕事ができるんだろう」と思っていたようです。アビリンピックは、社内にアピールする絶好の機会になりました。 2015年は国際大会があったため県大会・全国アビリンピックがなく、2016年の全国アビリンピック山形大会に出場し、「建築CAD」で金賞を取りました。このときは、職場では社内専用のCADを使っていましたが、一部の部署で競技用のソフトも使われるようになったこともあり、新たに勉強しました。再び社内報やホームページで紹介され、今度は建築関係の業務も増えました。 ちなみに2019年と2020年は再び「ワード・プロセッサ」で全国アビリンピックに出場しましたが、レベルが高いですね。「建築CAD」については、今回は玉野システムから3人が参加し、全国アビリンピックに3回目出場の天あま野の寛ひろ隆たか君が銅賞を受賞しました。実は私が2018年の金賞受賞後、備忘録のつもりで競技課題の手順をなぞった3時間の動画を作成したのですが、それを天野君に渡してあったのが役立ったようです。彼も2018年の全国アビリンピック沖縄大会で銀賞を取って以来、仕事が増えました。今回受賞を逃した2人のために、同様の動画をつくるようアドバイスしています。――今後の抱負も教えてください。 やっぱりアビリンピックには出場し続けたいですし、国際大会も目ざしたいですね。アビリンピックに挑戦するというだけで自身のスキルアップになりますし、他社で同じように働く方たちと競い合うことで、客観的な視点で自分の実力を知ることができます。そしてある程度の成績を残せば、社内での業務の幅もぐんと広がっていきます。日々の仕事を続けていくうえでの大きなモチベーションにもつながるのは間違いありません。願わくば、私たちが挑戦できる種目をもっと増やしていただけたらうれしいですね。何でもいい出しやすい職場環境アビリンピック金賞で一躍有名に15

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