働く広場2021年2月号
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働く広場 2021.2どうしていますか?塩原 同僚と情報共有をして「がんばったね」とねぎらってもらうことがいちばんです。高田 私は上司に報告して「その対応でよかったよ」と承認され、「あとはフォローしておくよ」といってもらうと安心できます。和田 私もセンター長に相談します。一人で行き詰まったら、時間を取っていただいて、本音で話します。内田 障害のある社員にとって、職場で相談できる人は欠かせない存在でしょう。また、「相談できる人がいてよかった」という言葉が、相談員自身のモチベーションにつながる好循環が生まれていると感じました。 そして、みなさんも日々のできごとを上司や同僚と共有することで、安心感につながっているのですね。 内田 次は、障害のある社員とかかわる秘訣を教えてください。ちょっとしたコツなど、だれにでも取り入れやすいものはありませんか。高田 表情と言動をよく見て、「普段と違うな」と思ったら、すぐに声をかけるようにしています。ほかには、話をよく聞くこと。本人の誤解がもとで、感情がこじれていることがあるので、話をしながら一緒にお互いの真意を確認するように努めています。塩原 私は、障害名でその人を見ないよう意識しています。とことん話を聞くことで、その人の特性や個性をつかんでいきたいと思っています。和田 障害のある社員たちは、私たちの忙しい雰囲気を察知して気を遣い、相談はおろか、不調があっても変化さえ表さない人もいます。私たちが、いつでも余裕をもって、相談を受け入れるスタンスでいることが大事だと思っています。高田 不調をすぐにいえるタイプの方と、声をかけても「大丈夫」というだけで本心をなかなかいえないタイプの方がいますね。いえない人には、「眠れている?」と質問を変えて聞いてみます。声をかけたほうがいいのか迷うこともありますが、「気づいてくれる人がいる」と感じてもらうことにも意味があると思っています。和田 不調をいえる人といわない人、伝えることが苦手な人がいます。私たちがもっとも注意しなければならないのは、伝えることが苦手な人です。きちんと細かく表情や行動を見ていないと、不調に気づけません。 逆に、日ごろから注意して見ていると、気になる行動に気づき、「何かあるな」とピンときますね。内田 本人自身が、不調を認識していないときもありますからね。何か変化に気づいたら、その場で声をかけてみるのがいいかもしれませんね。 和田 ほめ方もむずかしいですよね。全員に業務終了ごとに「ありがとう」と伝えるようにしていますが、ほめられることを前向きにとらえる人と、一方で「これは仕事だからあたり前」、「なぜほめらるのか」といった受け取いと「笑ってないね」といわれたり、見破られることが多いですね。「そんなことないよ」といいつつ、自分の気持ちを高めることもあります。和田 「相談員になってよかった」と思うところはたくさんあります。特に私の部署は「仕事を楽しむ」ことがモットー。自分自身のモチベーションの糧かてになっていると思います。塩原 私は管理部門の相談員という位置づけで、現場では指摘しづらいことを伝えたり、現場での指導後にこちらがフォローしたりと、役割を分担しています。最終的に、本人の意欲につながるとうれしいです。そのバランスがうまく取れると、「この仕事をしてよかった」と思いますね。内田 ご自身のメンタルケアなどは言葉で伝えることのむずかしさ障害のある社員とかかわる秘訣とは株式会社KDDIチャレンジド 高田麻里子さんリゾートトラスト株式会社 和田康延さん17

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