働く広場2021年2月号
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働く広場 2021.2る多機能型事業所(※2)では農作業担当だが、忙しい日はレストランで石窯でのピザ焼きを手伝う。同行した指導員は「彼はピザを焼きつつ周囲の進み具合を見て、指示も出します。現場経験が競技に活きていました」と健闘をたたえていた。 「オフィスアシスタント」(28人参加)の今回の課題は、送付書類のピックアップ、文書の封入などの発送準備と郵便物仕分け作業。総合支援学校3年生の櫻さくら井い千ち紗ささん(山口県)は、2019年の地方大会で銀賞だったものの、金賞受賞者の辞退でくり上げ出場となった。連絡が来たあとから特訓を再開。職場実習の合間を縫って課題に取り組んだ。すでにスーパー運営会社に就職が内定していることから「全国大会出場を機に、会社でこの業務も任せてもらえたらうれしいです」と意欲的に話していた。 「製品パッキング」(20人参加)は、商品梱包用の箱や緩衝材の組立てと、それぞれの組込み作業について時間とできばえを競う。飲料メーカーの特例子会社に勤務する釣つる井い一かず史しさん(兵庫県)は、3回地方大会に出場し、今回は初の全国大たデータ処理とインターネット検索を行う競技。岡おか澤ざわ洋ひろ成なりさん(栃木県)は、県立盲学校に在籍していた2019年の全国大会で努力賞。国立大学法人筑波技術大学に進学して再びの出場となった。大学では情報システムを学んでいる。「昨年は、最後のシートが技術的にできなかったので、スキルアップを図ってきました」と話す。結果は銅賞受賞と一つランクアップした。 「パソコンデータ入力」(21人参加)は知的障害のある人が対象で、競技課題はアンケートの入力、ワープロ文書の修正、帳票の作成を各30分以内に行うという内容。情報通信企業の特例子会社に勤める渡わた部なべ雄ゆう太たさん(東京都)は、2回目の全会出場。会社の先輩が相次ぎ出場する姿を見て挑戦を決めたという。コロナ禍で自宅待機が続いたため、会社側から緩衝材セットを自宅に送ってもらい、先輩とオンラインで練習を続けた。日ごろは清掃業務担当だが、「アビリンピック全国大会への出場が知られてからは、社内でも声をかけられ箱の組立て作業などを手伝う機会が増えました」と話してくれた。●ワード・プロセッサ/パソコン操作/ パソコンデータ入力 「ワード・プロセッサ」(32人参加)は、文字入力の速さと正確性だけでなくワードの各種機能をいかに使いこなせるかが問われる競技だ。石いし川かわ千かず滉あきさん(栃木県)は、小学生のときからパソコンに馴染んでいたこともあり、高校2年生からアビリンピックに挑戦、全国大会は3年連続での出場となった。通信関連の特例子会社でホームページの作成などを行っている。2019年の大会では社長も応援に駆けつけてくれたが、今回は母親がそばで競技を見守っていた。競技の合間に石川さんは「和文課題の量が規定ページを超えてしまいました。得意の英文でがんばりたい」と笑顔で話していた。 視覚障害のある人が対象の「パソコン操作」(6人参加)は、エクセルを使っ「製品パッキング」釣井一史さん(兵庫県)「パソコン操作」銅賞、岡澤洋成さん(栃木県)「ワード・プロセッサ」石川千滉さん(栃木県)「オフィスアシスタント」櫻井千紗さん(山口県)※2 多機能型事業所:障害者総合支援法および児童福祉法に基づく事業のうち、二つ以上の事業を一体的に行うもの6

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