働く広場2021年3月号
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働く広場 2021.3して人財開発室で活躍中だ。田中さんは大学卒業後に体調を崩してしまい、病院で軽度の発達障害によるものだと初めて診断されたという。その後、就労移行支援事業所に通っていたときにプリプレスの秋葉原分室を見学、そこで堀さんに声をかけられたのを機に入社したそうだ。堀さんは「人財開発室で一緒に働く仲間を探していたところでした。彼は『人を支える仕事がしたい』と話していて、実際に、人の話を聞く姿勢もすばらしかったのを覚えています」と話す。田中さんは大学で数学科を専攻していたこともあり、パソコン業務なども得意。ただ、物事の優先順位を決めるのが不得意だったり、何が大事な部分か混乱したりすることがあるため、堀さんが様子を見ながら助言しているという。人財開発室では、パワーポイントなどを使った資料作成や電話対応、記録作成、社員の作文添削といったサポートも引き受ける。「今後は、もっと社内の同僚を支えていけるような存在になりたい」と話す田中さんは、堀さんと同じように精神保健福祉士の資格取得を目ざして勉強も始めているそうだ。 プリプレスでは新規事業も続々と進みつつある。まずは2021年春のWEB公開を予定しているバリアフリー情報サイト「らくゆく」。これはおもに車いすユーザーやベビーカー利用者向けに、車や電車を使って出かける目的地までの最適ルートマップや、途中で利用できるバリアフリートイレ・駐車場・施設、トラブル時の病院や避難先などの情報を提供するというものだ。もともと社内の車いすユーザーから「自分たちが出かけるために本当に必要な情報を集めたサイトがほしい」という声が上がり、それをプリプレスの事業として立ち上げたという。作成にあたり、実際に社内の車いすユーザーたちが駅周辺の調査を行い、写真の撮影などをしている。先ほど登場した製造部の谷島さんもWEBコンテンツ制作でかかわっている。「歩道の段差や道路の傾斜、トイレの様子などを調べて、マップと連携させて掲載しますが、スマートフォンで簡単に検索できるよう工夫しています。観光地などの360度バーチャルツアーも計画しています。多くの人たちに活用してもらえるような内容にしたいですね」取材時は浅草、秋葉原、六本木などの外出スポット別の目的地情報が完成しており、まだまだ増やしていく予定だという。さらに2020年のコロナ禍を機に、凸版印刷から「プリプレスでやれないか」と打診されたのが除菌作業だ。グループ会社も含めた各職場でニーズが非常に高いことがわかったという。一瀬さんたちはさっそく、クルーズ船での除菌作業を手がけた清掃専門の企業に相談し、ノウハウなどを学んでいるところだ。社内では在宅勤務やテレワークなど場所にとらわれない働き方の導入についても検討を始めている。一瀬さんは「情報の扱いや雇用管理はどうするかといった課題もありますが、うまくいけば業務の幅も広げていけるかもしれません」と意気込む。「プリプレスの一人ひとりが積み重ねてきた経験や、まだまだ伸びしろのある能力を、もっと発揮できるような職場環境をつくっていきます。これは同時に、凸版印刷全体の社員の働き方改革にもつながっていくと思います。さまざまな取組みをモデルケースにして、凸版印刷のグループ会社にもどんどん波及させていけるよう、連携しながら業務内容や職場の拡大を図っていきたいですね」2021年は、宮城県仙台市に新たな分室を立ち上げる計画を進めているという。プリプレスでつちかわれた実績が、さらに多くの職場や業務で活かされることが期待されている。バリアフリー情報サイトもパソコン業務のほか、電話対応などを受け持つ人財開発室で堀さんをサポートする田中哲也さんバリアフリー情報サイト「らくゆく」11

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