働く広場2021年3月号
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働く広場 2021.3ワイシャツにアイロンをかける新井さん。ていねいさとともにスピードが求められるクリーニング工場内は、大型洗濯機やプレス機などが立ち並ぶ衣類の種類に応じて、大型洗濯機に投入する「伊藤忠商事株式会社」の特例子会社である「伊藤忠ユニダス株式会社」は、1987(昭和62)年に設立された。創業時から続くクリーニング事業は、さまざまな企業の単独身寮や首都圏を中心とした大型マンションの宅配クリーニングを引き受けている。また、名刺や封筒などの印刷を中心としたプリントサービス事業も、いまでは伊藤忠商事以外からの受注が大半を占めるなど、販路を拡大している。クリーニング事業では、業務の各工程において「ワイシャツの仕上げを素早くできる」など具体的な目標を設定。達成するとポイントが獲得でき、「マルチプレイヤー」、「スーパープレイヤー」などに認定される『マイスター制度』を設けており、品質の向上を目ざしている。注意欠陥・多動性障害(ADHD)のある宮みや田た拓たく実みさん(24歳)は入社6年目で、クリーニング本部で働いている。入社当初は染み抜きの工程を苦手に感じていたが、上司の岡おか田だ真しん一いちさんの指導を受け、苦手意識を克服。現在では、染み抜きにやりがいを感じているという。宮田さんは「後輩にアドバイスできる存在になりたい」と話す。入社2年目で軽度の知的障害のある新あら井い翼つばささん(20歳)は「さまざまな工程をこなす宮田さんは、あこがれの先輩です」と語る。脳性麻痺により四肢体幹機能に障害のある松まつ本もと浩ひろしさん(49歳)は、入社27年目のベテラン社員だ。プリントサービス部版はん下した課の課長代理として後輩の育成も行っている。松本さんは、「テクニックを伝えた後輩のステップアップがうれしい。自分自身のやりがいにつながっています」と語る。社交不安障害のある冨とみ澤ざわ政せい太た朗ろうさん(30歳)は入社2年目で、同部印刷課に勤務している。「ミスを防ぐために、判断に迷うことがあれば上司に相談します。ここは、気兼ねなく相談ができる職場です」と話す。マイスターを目ざす彼らは、工夫や研究を怠らず、日々努力を続けている。16

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