働く広場2021年3月号
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だという考え方を、社員みんなが抵抗なく受け入れられるようになっていると思います。――今後の課題と展望についてお聞かせください。太田 私たちは、一人ひとりの能力を見きわめ、働きがいを持って仕事をしてもらうことで、会社の利益にもつながることを目ざしています。でもこの先は、業務のAIやIT化によってジレンマをともなうことが出てくるかもしれません。彼らの長所をどこで活かしていけるかを考え続けなければいけないですね。 そのためにも、障害者雇用による多様な人材の活躍をさらなるチャレンジの場にしたいと思っています。より多くの人数を採用するというよりも、いまの人材にしっかり定着してもらって、水準を高めていくことが目的です。実は以前から、社内向けの人材派遣を担当するグループ会社の業務が、チャレンジスタッフの業務と重なることが増えていたので、組織を一体化することで業務や管理の機能を高めていきたいと考えています。 正直にいうと、これまで少数のダイバーシティ担当者が奮闘しながら運営してきた部分という考え方を大事にしていくといいかもしれません。 収益面については、会社それぞれの事業や文化のなかで、どのように折り合いをつけていくかを考える必要があります。100%売り上げに結びつけることが理想ですが、少しだっていいんです。最初から、素晴らしい実績の会社や環境が整った職場を目標にして挫折するよりも、「自分たちのやり方で、無理なく、いかに着実に進めていけるか」が大事です。その度合いをだれが判断しだれが進めるかを決めたら、少しずつよい方向に持っていけるよう一つずつ新たな目標をつくって達成していけばいいと思います。まずは、なにごとも失敗を恐れず、一歩をふみ出していっていただきたいですね。もあり、現場ではもっと細やかなサポートが必要だとも感じています。チャレンジスタッフの雇用条件も東急リバブルの社内規定内で進めてきたので、もう少し配慮しやすい雇用体制を整備していきたいと思います。今後さらに、彼らの自立した生活を支えていけるようにしていくつもりです。――これから障害者雇用を進めていく企業へのアドバイスを教えてください。太田 私の妻(太田由美さん)は15年ぐらい前から、東京都東村山市で障害児対象の学習サポート塾を運営しています。彼女の取組みを見守るなかで感じるのは、「なにごとも深刻に考えていたらきりがない」ということです。うちの会社でも、障害のある社員と一緒に働いている人も、あんまり深刻になっているような人はいないと思います。先回りして「自分たちとは違うから配慮しなければ」などと考えてばかりでは、かえって雇用推進がむずかしくなることもあります。みんな自然に、障害を気にしないような心持ちでいられる職場になれるといいですよね。そのうえで、「会社に貢献してほしい」という思いと、「結果をしっかり示して一緒に成長していこう」Leaders Talk働く広場 2021.3定着と水準の向上あまり深刻にならず折り合いをつけながら5

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