働く広場2021年4月号
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NPO 法人アイ・キャン(福島県郡山市)■精神障害におけるピアサポート■身体障害におけるピアサポート■難病におけるピアサポート【取材先プロフィール】◆事業概要  あさかホスピタルグループの障害福祉部門として、共同生活援助事業のほか、相談支援事業所、多機能型支援事業所(就労移行支援、就労継続支援A型・B型事業所)、地域活動支援センターI型の運営を通じ、精神障害者の地域生活を支援。 地域と積極的に交流するパン工房の運営も行う。働く広場 2021.4ます。2010︵平成22︶年、精神障害者地域移行・地域定着支援事業実施要綱において「ピアサポートの活用」が明記されたことを機に、全国各地でピアサポーターの養成研修が行われています。 身体障害者自身による障害福祉サービス支援を積極的に行っている「自立生活センター」が全国に広まっており、自らも自立生活を営むピアサポーターによる「社会生活力を高めるための支援」や「ピアカウンセリング」などが提供されています。また、各地の自立生活センターを中心に、ピアサポーター養成のための研修プログラムが実施されています。 患者会活動のなかでの相談や交流の場で、多くはボランティアで「当事者相談」、「ピアカウンセリング」などが行われています。また、全国各地の難病相談支援センターなどで、ピアサポーターの養成研修が開催されています。 自身も障害を抱えながら活動するピアサポーターは、当事者やその周囲の方の希望となり、よき理解者となりえます。今回は、福島県郡こおり山やま市で、福祉施設などの事業を行う「NPO法人アイ・キャン」︵以下、「アイ・キャン」︶の取組み事例とともに、精神障害におけるピアサポート活動の現状と課題について紹介します。 福島県では、2011年度から「精神障がい者ピアサポーター」養成の取組みを進めており、現在までに約130人の方がピアサポーターの養成研修を修了しています。アイ・キャンでも、県の委託によりピアサポーター 「ピアサポート」とは、一般に、「同じような立場の人によるサポート」といった意味で用いられる言葉です。「ピア」は英語のpeerという言葉をさし、「同じような立場や境遇、経験をともにする人たち」を意味します。 ピアサポートという言葉は、幅広い領域で使用されていますが、障害領域における「ピアサポート」に関しては、「障害のある人生に直面し、同じ立場や課題を経験してきたことを活かして仲間として支えること」という定義(※1)がなされています。 「精神障害」、「身体障害」、「難病」といった障害で、すでにさまざまな「ピアサポート」に関する取組みが見られます。 「生活支援」、「病院訪問」、「1対1でのピアカウンセリング」などに、当事者としての経験を持つ人が、ピアサポーターとして従事することが増えてい※1岩崎香・秋山剛・山口創生・宮本有紀・藤井千代・後藤時子:障害者ピアサポートの専門性を高めるための研修の構築. 日本精神科病院協会雑誌、 36 巻 10 号、 p 20-25(2017)第1回第1回職場定着に役立つ職場定着に役立つ「ピアサポート」とは「ピアサポート」とは~当事者ならではの経験に基づく支援~~当事者ならではの経験に基づく支援~ 近年、支援の現場において、「ピアサポート」という言葉をよく耳にするようになりました。当事者ならではの共感をベースとした支援方法である「ピアサポート」の有用性と今後の可能性について、実際にピアサポーターが活躍する事業所などの取組み事例とともに、2回の連載でご紹介します。クローズクローズアップアップ事例紹介はじめに~ピアサポートとは~ピアサポーターがリードするピアミーティング障害のある人のピアサポート活動10

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