働く広場2021年4月号
23/36

携」、二つめは「企業とともに歩むパートナーシップ実習」だ。 港特別支援学校では、高校1年生の段階から6業種の職場実習(インターン)を経験する。生徒はさまざまな職種や職場があることを知り、実際に働く経験を通して、〝自分自身を理解する〞ことけた取組みについてうかがった。 港特別支援学校の進路指導主幹教諭である安やす田だ賢さとし先生に、お話をうかがった。 港特別支援学校では、「MINATOだからできること皆と一緒にできること」をスローガンに、よりよい社会づくりを目ざし、社会に開かれた教育を実践している。 都内にはすでに、卒業後の企業就労100%を目ざす〝就業技術科〞を設置している特別支援学校がいくつかある。港特別支援学校でも新たなコンセプトの学校づくりを目ざし、2016年に普通科に加え、1学年20人という小規模体制で、全員が企業就労を目ざすためにきめ細やかな活動を展開する「職能開発科」を設置した。今回はおもに、この職能開発科での取組みについて紹介したい。 港特別支援学校での特徴的な活動は大きく二つある。一つめは、「自己選択・自己決定を目ざす進路指導と保護者との連 知的障がい者が法定雇用率の算定基礎に加えられ約20年。年々、民間企業での雇用が拡大し、現在では約12万3千人の方が企業で働いている(※1)。 2019(平成31)年3月に特別支援学校高等部を卒業した生徒約2万2千人のうち、約32%が企業就労しており、この割合も年々増えてきている(※2)。その背景には、就労に向けた特別支援学校の取組みが実を結んでいるといえる。 企業で雇用されている知的障がい者は、事務補助や接客、清掃など幅広い分野で個々の特性を活かした活躍をしている。私の所属するサントリービジネスシステム株式会社(※3)においても、2015年より知的障がいのある方を採用し、現在では東京・大阪の事業所を合わせて20人が活躍している。実際の雇用を通して、知的障がいのある方がさまざまな経験をしながら成長する姿を目の当たりにし、可能性の拡がりを実感している。採用にあたっては、特別支援学校より毎年新入社員を迎え入れており、今後も新規採用を継続していきたいと考えている。 今回は、「東京都立港特別支援学校」(以下、「港特別支援学校」)と、「千葉県立特別支援学校市川大野高等学園」(以下、「市川大野高等学園」)の二校を訪問し、各校での生徒への企業就労に向はじめに〜知的障がい者の雇用状況〜港特別支援学校のこだわり自己選択・自己決定を目ざす進路指導と保護者との連携働く広場 2021.4東京都立港特別支援学校港特別支援学校進路指導主幹の安田賢先生教室では、清掃の検定に向けて練習が行われていた食品に関するコースでは、パンづくりなども学習する「働くために必要な力」を育む、さまざまな取組み港特別支援学校の保護者、企業と連携した進路指導や進路学習市川大野高等学園の地域に密着したデュアルシステム123POINT★本誌では通常「障害」と表記しますが、平岡典子編集委員の希望により「障がい」としています※1 「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」(厚生労働省)※2 「特別支援教育資料(令和元年度)」(文部科学省)※3 本誌2021年1月号の「職場ルポ」で紹介しました。当機構ホームページでご覧になれます検索働く広場 2021年1月号21

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る