働く広場2021年4月号
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働く広場 2021.4支援 ○○市」などでインターネット検索をしてみてください。家計改善に向けた計画づくりのほか、必要に応じて、さまざまな公的給付を受けるための助言や、債務整理が必要であれば専門家へつなぐ支援などもしてくれます。 私たちの法律事務所でも、多重債務に陥って自己破産などの債務整理をする際は、単に法的に借金を消すことだけではなく、再び同じようなことにならないよう、自己破産などの法的整理と並行して、当事務所専属のソーシャルワーカー(精神保健福祉士・社会福祉士)のサポートのもとで、家計簿を無理のない範囲でつけていただくなどの方法により、家計改善の支援もしています。 障害のある方、特に、多重債務に一度陥ってしまったような方は、家計簿をつけることにも苦手意識を感じている方が多いようですが、以上の点に留意して家計改善にチャレンジすれば、みなさん、自分なりの方法で、自分の家計を適切に把握して、支出をコントロールできるようになるはずです。どうしても一人ではむずかしい場合は、早めに周りの支援者や専門家に相談をしてください。浦﨑 寛泰(うらざき ひろやす) 1981(昭和56)年生まれ。岐阜市出身。2005(平成17)年、弁護士登録。長崎県の離島(法テラス壱い岐き)で活動した経験や、法テラス千葉で障害のある方の刑事弁護を数多く担当した経験から、弁護士とソーシャルワーカー(福祉の専門職)が協働して活動する必要性を痛感。2010年CFP®(※)登録。2014年社会福祉士登録。2018年4月、仲間とともに弁護士法人ソーシャルワーカーズ設立(代表弁護士)。  共著に『福祉的アプローチで取り組む弁護士実務―依頼者のための債務整理と生活再建―』(第一法規)など。倒かもしれませんが、一度設定してしまえば、あとは、ほぼ全自動でクレジットカードや銀行引き落としも含めて家計簿を作成することができます。 向き不向きは人それぞれです。大事なことは、きちんとした家計簿をつけることにこだわらず、やれる範囲で自分に合った方法をいろいろ試してみて、長く続けられそうな、フィーリングに合うやり方を見つけることです。②「どんぶり勘定」でもよい 家計を記録する目的は、何にどれくらい支出しているかを把握して、収入の範囲に収まっているか、節約できる費目がないかなどをチェックし、改善に役立てることです。会社の帳簿と違い、必ずしも1円単位で正確に書く必要はありません。多少大雑把でも、漏れがあったとしても、大きな金額でなければ、家計管理の目的には影響はありません。 家計簿をつけ始めると、すべての収支を漏れがないよう、1円単位で正確に書こうと思うあまり、かえって挫折してしまう人もいるようです。まずは、「どんぶり勘定」でも、多少の漏れがあってもいいので、大雑把にでも家計の傾向(例えば、「1カ月の食費はだいたい○万円くらい」など)がつかめればよい、という気持ちで続けるのがよいでしょう。③まずは3カ月間続けてみる 収入(給与)も家賃も光熱費も、1カ月単位で発生することが多いと思われます。家計簿アプリを使っていれば1カ月単位の収支は自動で計算されますが、そうでない人は、どこかで時間を取って、1カ月単位の収支を自分で計算する必要があります。 支出には、毎月ほとんど金額が変わらない固定費(家賃、光熱費など)もあれば、毎月金額が上下する変動費(食費、日用品代など)もあります。特に変動費は、ある程度の期間継続して記録し、平均的な支出を把握することが必要です。まずは3カ月間程度続けられれば、家計の大まかな状況を把握することができるでしょう。 なお、このほかに、不定期に臨時で発生する費用(冠婚葬祭費、旅行代など)もあります。このような臨時の支出については、別途年間ベースで管理する必要がありますが、3カ月間記録を継続することができれば、予測が立てやすくなるでしょう。 家計把握ができたら、可能であれば、人に見てもらって意見をもらうとよいでしょう。同居する家族がいれば、情報を共有することで、一緒に家計の見直しをすることができます。 とはいえ、親しい友人や同僚などに家計のことを相談するのは抵抗がある人も多いでしょうから、行政の家計支援などを活用するのもよいと思います。全国の市区町村では、家計が苦しい住民を対象に、家計に関する相談に乗り、家計の状況を「見える化」し、家計再生のためのプランを一緒に考えてくれる「家計改善支援事業」を実施している自治体もあります。詳しい窓口などは、「家計改善行政の家計改善支援なども活用しよう※CFP:Certi ed Financial Planner(認定ファイナンシャルプランナー)。日本FP協会が認定しているFPの上級資格3

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