働く広場2021年4月号
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働く広場 2021.4として障害のある従業員もフォローしているそうだ。「けがをしないよう、その日の顔色や体調も見ながら声かけをしています。作業内容で注意したあとは、うまくいったことを確認して『やったらできるやん!』などと意識的にほめるようにしています。これが一番効果的ですね」府立大とのやり取りを担当している辻つじ秀ひで和かずさんは「このコロナ禍で新たに除菌作業も増えましたが、スムーズに実践できています。現場の支援が行き届いているおかげで、府立大から『よくやってもらっています』という言葉ももらっています」と語る。辻さん自身も、月に何度か現場を訪れて5人の仕事の様子を見て回り、声かけを心がけている。同じ男性ということもあり、相談相手として頼られることも少なくないようだ。 では実際に5人はどんなふうに働いているのだろうか。1カ所ずつ見て回ったが、どの現場もそれぞれ1人で黙々と作業していた。1階男子トイレで熱心に便器を磨いていた坪つぼ田た剛たけしさん(48歳)は、「20年前にも駅の掃除をやっていたので、清掃は得意なほうです」といいつつも、最初はトイレ便器の黄ばみを取る作業に苦労したという。「わからないことは谷本さんたちに聞いて、クレームがこないようがんばっています。ここ3年は無欠勤です」と誇らしげに語ってくれた。3階トイレで洗面台を洗っていた辻つじ林ばやし義よし清きよさん(47歳)にも、仕事について聞いたところ「エルチャレの訓練に通っていて『府立大で働きませんか』と誘われました。自分は足が悪く、あまり遠くにはいけないので、ここがちょうどいいです」と笑顔で話してくれた。別棟の5階トイレを担当していた伊い藤とう均ひとしさん(61歳)は、この仕事を始めて17年が経つ。清掃の仕事は「時間がかかりますから、たいへんです。洗面台を一生懸命やります。65歳まで働きます」と語ってくれた。伊藤さんは曜日で担当場所が変わるため、更衣室ロッカーのドア裏に大きな紙の注意書きが貼ってある。グラウンドそばの部室棟にあるトイレで、モップを使って清掃していた生いく田た義よし信のぶさん(61歳)は、「仕事は慣れました。むずかしいこともありません」と話す。生田さんの用具類には、すべて黄色いビニールテープが貼られている。生田さん働くベテラン従業員たち汚れを見逃さないよう注意しながらスポンジで便器を磨いていく水滴が残らないようにタオルで拭きとる拭き取り用のタオルで便座の裏側もしっかりと清掃するモップの房糸を束ねるゲタ部に、目印となるビニールテープが巻かれている坪田剛さん辻林義清さん伊藤均さんグラウンドの土が床に残らないようにモップで拭いていく生田義信さん7

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