働く広場2021年5月号
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働く広場 2021.5 同社には組織横断的に編成された「委員会」と呼ばれる活動があり、会社を運営する機能の一部をになっています。すべての社員が委員会に所属しており、毎週水曜日の17時から30分間は、通常の業務を止めて委員会ごとの活動を行います。 委員会活動には、会社のホームページをつくる「HP委員会」、健康促進についての啓発や講座を開催する「健康促進委員会」、災害発生時の避難などについて検討する「危機管理委員会」、互いの障がいを理解するための体験研修などを行う「おもいやり委員会」などがあり、障がいのある社員がリーダーとサブリーダーを担当します。これらはすべて、社員が必要性を感じて立ち上げたもの。例えば、創業時から続いている「手話委員会」は、会議などの場面でコミュニケーションが取りにく 「ピアサポート」とは、一般に「同じような立場の人によるサポート」といった意味で用いられる言葉です。今回は、ピアサポート的な活動を職場で取り入れている事例として「株式会社ニッセイ・ニュークリエーション」(大阪府)の取組みを紹介します。 同社は、保険会社の日本生命が、障がいのある人を積極的に雇用するために1993(平成5)年11月に設立し、1994年3月に特例子会社に認定されました。社員数386人のうち、障がいのある社員は333人で、身体障がい、知的障がい、精神障がいなどの障がいのある人が協力しながら業務を行い活躍しています(2021︿令和3﹀年4月1日現在)。その背景にあるのは、創業以来受け継がれてきた『お互いの障がいを理解し支えあう』ことを大切にする理念であり、障がいがあってもハンディキャップを感じることなく力を発揮できる環境があります。 ここでは、ピアサポートという言葉にも通じる「障がい者同士の支えあい」という観点から、同社で行われている3つの取組みを紹介します。第2回第2回職場定着に役立つ職場定着に役立つ「ピアサポート」とは「ピアサポート」とは~互いの障がいを理解し、支えあうことの重要性~~互いの障がいを理解し、支えあうことの重要性~ 当事者ならではの共感をベースとした「ピアサポート」について、第2回目は、実際にピアサポート的な活動を進めている職場の事例をご紹介します。 当事者による活動は、効果的な支援方法の一つとして、昨今、注目が集まっています。みなさんの職場でも参考にしてみてください。クローズクローズアップアップ職場でひろがるピアサポート的な取組み横につながる委員会活動株式会社ニッセイ・ニュークリエーション(大阪府大阪市)【取材先プロフィール】◆事業概要  日本生命保険相互会社の100%出資の特例子会社として、1993(平成5)年に創業。おもに、親会社である日本生命の生命保険関係事務の代行業務と、日本生命および関連会社などの印刷物の製作を行っている。 多様な障がい特性に対応した配慮・対策を充実させている点が評価され、「令和2年度障害者雇用職場改善好事例」で最優秀賞(厚生労働大臣賞)を受賞。1. 組織横断的に活動する委員会制度があり、自分と同じ障がいのある人とつながれる2. 8人のジョブコーチと、63人の障害者職業生活相談員が在籍し、困ったときに相談しやすい環境がある3. 入社後3カ月間は、アドバイザーが1対1でサポート。安心して、会社生活をスタートできる3つのポイント『お互いの障がいを理解し支えあう』『お互いの障がいを理解し支えあう』互いの障がいを理解しあうための体験研修。お互いの苦労を実感する機会となっている★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社ニッセイ・ニュークリエーション様の希望により「障がい」としています10

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