働く広場2021年5月号
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働く広場 2021.5ます。「日常の業務にあたりながらアドバイザーをになうのは、先輩社員にとっても負担を感じるはずなのですが、アドバイザーになることを目標にしている若手社員が多くいます。入社したころに自分のサポートをしてくれた先輩のようになりたいと考える社員が多いのだと思います」と、中島さんはいいます。アドバイザーである先輩社員に対しては、困っていることを話し合う場を定期的に設けるなどしてフォローし、会社全体で新入社員がスムーズに職場や仕事になじめるように取り組んでいます。このように、互いの困りごとを支えていこうという組織風土のなか、同社の年度始めの在籍数に対する年度末在籍数で算出した職場定着率は、97%という高い数値を示しています(2019年度)。最後に、山村さんはこう語ってくれました。「障がいがあっても自分の能力を発揮できる環境があることが、社員の職場定着につながっていると思います。近年は、発達障がいのある人の入社が増えており、身体障がいとは違う形でのサポートが必要になっていると感じています。見た目にはわかりにくい障がいなので、互いの障がいを理解しあうことの重要性がますます高まってくるでしょう。当社の伝統である『お互いの障がいを理解し支えあう』文化を、若い社員にも引き継ぎながら、今後もすべての人が働きやすい新しい形での職場づくりに、力を入れて取り組んでいきたいと考えております」い聴覚障がい者の困りごとを解決するために、すべての社員を対象に手話の勉強会を開催しています。「委員会活動を通じて普段は発揮できない力が評価され、社員のモチベーションアップにつながることもあります。また、部署を超えて、自分と同じ障がいのある人とつながり、悩みなどを共有する機会が得られることも、私たち障がい者にとって心強い制度だと感じています。共感だけではなく、叱しっ咤た激げき励れいの言葉が待っていることもありますが、厳しい意見も同じ障がいの人にいわれると、受け入れやすい面があると思います」と、自身も身体障がいのある業務第一部部次長の中なか島じま信のぶ弘ひろさんは語ります。同社では、障がいのある社員自らが、「企業在籍型ジョブコーチ」や「障害者職業生活相談員」の資格を取得し、互いを支えあうサポート体制を築いています。現在、相談に対応しているのは、8人の企業在籍型ジョブコーチと、63人の障害者職業生活相談員です。主任以上の役職者の全員が、これらの資格を取得しています。「直属の上司でなくても、自分が話しやすい人のところに相談に行くことが可能です。私自身も、毎日のようにいろいろな相談を受けています。何かあったときに、すぐに相談できる環境があるのは、大きな安心感につながっていると感じています」と、人材開発部課長代理で、自身も身体障がいのある山やま村むら武たけ士しさんはいいます。 毎年約30人の新入社員が入社している同社では、新入社員へのサポートとして、入社後3カ月間、入社2~3年目の先輩社員が、専任のアドバイザーとして仕事や会社生活面のサポートを行う「アドバイザー制度」があり先輩社員とスタートする会社生活いつも身近にある相談の場いつも身近に相談のできる環境がある業務第一部部次長の中島信弘さん人材開発部課長代理の山村武士さん先輩社員が、新入社員をサポートするアドバイザー制度11

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