働く広場2021年5月号
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働く広場 2021.5会議では社員による手話通訳やUDトークを活用し、コミュニケーションを円滑にしているUDトークは、音声認識により健聴者の発話を文字化し、スマートフォンなどに表示できるJTBグループの特例子会社「株式会社JTBデータサービス」では、1992(平成4)年の設立時から、聴覚障害のある社員が顧客アンケートのデータ入力などの業務で活躍してきた。現在では、聴覚障害をはじめ、精神、知的、上下肢、内部などさまざまな障害のある社員が活躍している。 江東区にある木場営業部で働く星ほし宏ひろ明あきさん(46歳)もその一人だ。聴覚障害のある星さんは、今年で入社24年目のベテラン社員。入社に向けての面接で、当時の社長から手話で挨拶をされたことに驚きを感じ「ここで働いてみたい」と思ったという。現在はオペレーション2課の課長を務め、同じく聴覚障害のある部下を束ねている。健聴者とのコミュニケーションでは、会話の見える化アプリである「UDトーク」や、筆談器として「ブギーボード」などを活用している。星さんは「若手に『ここで働きたい』と思われる職場、障害のある社員が安心して長く働ける職場をつくっていきたい」と語る。JTBデータサービスの業務内容は、データ入力や名刺印刷などパソコンを使用した業務や、ギフト券ラッピング、発送業務など多岐に渡る。ラッピング業務は月平均4万個もの実績があり、発送業務では封入ミスを防ぐため、0・01g単位の計りを使用し、内容物の重さを計ることでミスを防いでいるという。 親会社であるJTBの本社や、その支店などに出向して業務を行う聴覚障害のある社員も多いため、その際は、本社に置かれた「定着支援課」がサポートを行っている。近ごろでは情報保障の一環として、JTB本社からグループ各社向けの動画に字幕入力を行っており、社員からも内容が理解しやすいと好評だという。また、「口を開けて、ゆっくり話す」、「同時にしゃべらない」などの「ユニバーサル会議」を提唱するなど、職場定着への取組みも行っている。16

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