働く広場2021年5月号
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がある。RPAのプログラマーのなかには、精神・発達障がいのある方がいらっしゃる。その人の「障がい」という特性を、逆に仕事にうまく活かすことができるならば、これは素晴らしいことだ。例えば、考えもつかない新しい発想でプログラミングできる発達障がいのある社員の存在は、企業にとって「人財」となり得るだろう。そんな能力のある人のことを、「障がい者」と呼ぶのは間違いだ。 RPAの運用では、知的障がいのある社員の業務も創出されているという。こうした人材(人財)の育成は、ある程度の社内研修は必要だと思うが、社内だけでどの程度まかなえるものだろうか。そこで、大東コーポレートサービスが、そうした「人財」をどこからどのように探しているのかについてうかがってみた。 大東コーポレートサービスのビジネスパートナーであるアーネストは、IT/WEB/RPA特化型の就労移行支援事業所であるアーネストキャリアを運営し、RPAの「人財」を開発している。アーネスト社長の水野さんは、大学と連携した「発達障がい学生支援プロジェクト」も立ち上げていらっしゃる。筆者の所属する筑波大学とも連携中で、無料のプログラミングスクールを開講されている。このプロジェクトの背景として水野さんがという。これらの定型業務をロボットが自動的にやってくれるならば、かなりの時間が節約できる。私は自分の仕事で郵送調査や面接調査をよく行うが、代わりにロボットがデータを収集し、データ入力ミスの有無をチェックし、解析準備完了としてデータセットを自動的に「登録」してくれるなら、作業的な部分だけでも随分と楽になるのだろうと思う。それによって創出された時間をほかの業務(例えばデータ解析)に充てることができる。RPAによる定型業務処理のお話を聞くと、業務が格段に効率化され、余った時間を「人ならでは」という職務に充て、それが新たな職務創出につながるという仕組みが見えてくる。 では、RPAの導入で何が可能となったか。それは、「働き方改革」、「本社人員のスリム化」、「企画業務への集中」という3点だという。なるほど。ただ、「RPA開発には時間がかかる」、「RPA技術による生産性やシステム品質にバラツキが発生する」、「外部業者へRPA開発を依頼するにはお金がかかる」といった問題はあるという。これらの「人員的課題」、「技術的課題」、「コスト課題」といった課題を解決するための一手としてたどり着いたのが、『RPA開発専門部隊の結成』だ。専門部隊。つまり、スペシャリスト集団のチームである。そうした「スペシャリスト」は、通常、しかるべきトレーニングで徹底的に育成される必要Aという言葉さえ知らなかった。「そんな便利なロボットがあるのですか?高いのでしょうね?」くらいのレベルである。私のような素人は、人が手で行う定型業務をロボットがサクサクと代わりに「自動で」やってしまうと、人の仕事がなくなるのではないかと危惧してしまう。その反面、「RPAは人にしかできない仕事とは何かを教えてくれるのかもしれない」と思いを巡らせながら、さらにお話をうかがった。 RPAは、まず大東コーポレートサービスの親会社である大東建託によって導入された。RPAの導入に至るまでには、大企業として綿密で正確な業務分析や、業務のシステム化へのさまざまなテクノロジーと工夫があったものと推察するが、おそらく定型業務というのが「ミソ」なのではないかと思う。つまり、インプットからアウトプットまでの作業パターンが一度決まれば、あとはその業務の精度を高め、スピード化し、人の業務時間外でも稼働できるようなシステムをプログラミングし、「定型業務」として業務遂行のコマンドを出せばいいわけだ。といっても私は、実際のRPAの仕組みはまったくわからないので、具体的な定型業務とは何かについて続けてお話をうかがった。 RPA部門課長の西岡さんによると、定型作業には、例えば「データ収集」、「チェック」、「登録」などの業務がある人材育成の仕組みとビジネスパートナーシップ働く広場 2021.5RPA化の事例(資料提供:大東コーポレートサービス株式会社)23

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