働く広場2021年5月号
26/36

そのプログラムは、体系的なスキルアップができるような流れとなっており、レベル1〜9までがある。例えば、レベル2は未経験者の人材育成として、「RPA教材の例題」に取り組み、基礎を学べる内容となっている。次のレベル3では、「手順を自分で考える課題」に取り組み、続いてレベル4の「RPAの運用とエラー対応」にステップアップする。このように、次々にエキスパートへの階段を上っていく。そして最終的には、RPA技術者検定(アソシエイト合格、エキスパート合格)まで達することができる仕組みとなっている。 アーネストキャリアが「ピア型プログラミングスクール」で人材を「かなりのハイレベル」まで養成し、企業インターンシップを通して卒業と同時にビジネスパートナー先の一つである大東コーポレートサービスへの就職につなげるという合理的な流れは、有効なビジネスモデルとして業績に反映されている。水野さんは、人材育成企業と特例子会社の橋渡し役としてバランス感覚の優れた田中さん、RPAのリーダーである西岡さん、たしかな理念を持つ福田さんと連携し、優秀な「人財」を提供することに情熱を傾けていらっしゃる。 四人のお話を聞いて、ようやく私にも ただ、即戦力を持つスペシャリストになるのは、決して簡単なことではないだろう。このプログラミングスクールでは学生に、複数名の仲間(ピア)と連携し、チームワークでプログラミング課題に取り組むようにさせている。 そして、プログラミングスクールで学んだ障がいのある学生を企業での雇用につなげるうえで、大切な架け橋として活躍するのがスクール内の「コミュニティーマネージャー兼キャリアカウンセラー」である。障がいのある人のキャリアカウンセリングは、働いて幸せになることを目ざす職業リハビリテーションのなかで、極めて重要な学問的礎いしずえの一つである。人と仕事をつなげる職業ガイダンスの父とも呼ばれるフランク・パーソンズは、1909年の『Choosing A Vocation』という著書で、「単に仕事を探すより、職業を選ぶ方がよい」としている。自分に合った職業を「選ぶ」方が、よりよいキャリア発達へとつながる可能性も高まる。この意味で、障がいのある人の職業選択肢の幅を広げるためにも、キャリアカウンセラーが果たす役割はきわめて重要といえる。 また、大東コーポレートサービスでも、スペシャリストになるための研修を行っている。挙げたのは、全学生の就職率75%に対して、発達障がいのある学生の就職率が36%という事実である。発達障がいや精神障がいのある学生が、学校帰りに無料でプログラミングを習い、企業インターンシップを通してさらに学べる場があれば、彼らを就職前の段階から有能なプログラマーに育てることができる。そうすれば、発達障がいのある学生が、プログラマーとして就職できる可能性が大きく広がる。この人材育成の仕組みは、大東コーポレートサービスとアーネストキャリアに、相互のベネフィット(利益)をもたらす。このビジネスパートナーシップも、「できるようにする工夫」の一つである。職場の実際働く広場 2021.5発達障がい学生支援プロジェクトの概要(資料提供:大東コーポレートサービス株式会社)ピア型のラーニングシステム(資料提供:大東コーポレートサービス株式会社)24

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る