働く広場2021年5月号
27/36

「障がい」と見るのではなく、「特性」と見て、その技能を最大限に伸ばし、活かす。これらを実現しているのが、大東コーポレートサービスと、そのビジネスパートナーであるアーネストである。 アーネスト(earnest)には、「本格的」、「真面目」、「熱心」、「ひたむき」という意味がある。なるほど、「本格的」というのはこういうことか、と思った。 コロナ禍のなか、今回の取材では、「熱心」で「ひたむき」な四人の方に直接お会いすることができ、「本格的」で「真面目」に働いている「アビリティのある労働者」、つまり「ディスアビリティではない労働者」の方々から発せられる熱意を肌で感じることができた。やはり対面はいい。 福田社長、水野社長、西岡課長、田中チーフ、とても2時間では話し足りない内容であり、私の言葉が足りない部分が多くあると思いますが、ご容赦ください。このたびは、私の拙つたない「初取材」に快くご協力いただき、誠にありがとうございました。「障がいが障害でなくなるような業務創出」を日々、実践されていることに対し、敬意を表します。 「障がい者雇用」という言葉をあえて使わなくてもいい日が、いつか来ますように。ま障がいのない社員の方々も、ご自身の仕事に誇りを持って働いていらっしゃるといった空気感がじわじわと伝わってきた。 今回の取材で、二つのことを学んだ。一つは、精神障がいや、発達障がいのある方の力を最大限に引き出すためには、その個人が持つ「特性」を理解し、それを最大限に伸ばすために、労を惜しまず育成するという、本来あるべき「流れ」である。そしてもう一つは、特例子会社と人材育成会社によるビジネスパートナーシップによって「障がい」を言い訳にせずそれを逆手にとってチャンスにつなげるというビジネスの工夫と熱心さである。 障がい者雇用は初めから「障がい者」という枠で人を見ているようで、私は個人的にはあまり好きな言葉ではない。資質の高い能力を持った「人財」が会社やチームのなかにいて、あとで障がい者雇用枠であったことを知るとき、よく「障がい者なのにできるんだ」という偏見が露呈することがある。障がいのある人のなかにも、RPAにかかわるシステム開発が得意な方、即戦力となる方はたくさんいる。即戦力がないのであれば、その人材を育てればよい。仕事を創出する工夫をすればよい。そして、障がいを全体の流れが見えてきたところで、最後に社員の方々が働いている現場を見せていただいた。まず、発達障がい・精神障がいのある社員四人がプログラミングを行っている部屋を見学した。そこは、人からあまり邪魔をされない「ソーシャルディスタンス」が確保された場所であり、穏やかな照明を使った、とても静かで優しい空間である。社員の方々は、黙々とパソコン画面に向き合って働いている。壁には、構造化された作業工程や、勤務日程などが細かく可視化されており、チームとして遂行すべき業務が確認できるようになっている。 別のフロアにある作業場はかなり広々とした空間である。大東コーポレートサービスは、大東建託グループと「分かち合う」オフィスサービスとして、高品質な事務業務を提供している(シェアードサービス)。オフィスサービスを集中化することによって、業務の効率化が可能となる。これらの業務には、口座振替依頼書の入力業務や、グループ各社の経費精算などがあり、人事、総務、経理、OA、営業支援といった幅広い領域をカバーしている。 整理整頓されたクリーンな社内は、人数が多い割に比較的静かで、落ち着いた空気を感じさせてくれる。こうした大企業でスマートに働くのは、楽ではないにしても、なんだか気持ちがよさそうである。障がいのある社員の方々も、たまた終わりに学んだこと働く広場 2021.5それぞれのデスクは、パーテーションにより仕切られブースとなっている壁面がホワイトボードとなっており、工程の目標や達成度が記入されているデスクは壁面に向け設置されており、作業に集中しやすい25

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る