働く広場2021年6月号
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働く広場 2021.6渡辺さんは、ビジネスサポート課のシステム担当でもあり、同僚のパソコントラブルにも対応している「ポラスグループ ポラスシェアード株式会社」は、埼玉県・東京都・千葉県などを中心に、住宅供給やリフォームなどを手がけるハウスメーカー「ポラス株式会社」の子会社で、2015(平成27)年に越こしがや谷市初の特例子会社認定を受けた。グループ各社の運営にともなう設計補助業務や事務代行業務がおもな事業であり、精神障害のある社員のほか、身体障害や知的障害のある社員が活躍している。2018年と2020(令和2)年には、当機構の障害者雇用職場改善好事例の奨励賞を受賞した。入社9年目となるビジネスサポート課の渡わた辺なべ啓けい仁とさん(26歳)は、注意欠如・多動症(ADHD)がある。特別支援学校に在籍中、同社で3度の実習を経験し、同社初の特別支援学校の新卒者として入社した。得意なパソコンのスキルを活かし、書類の電子化、市場調査の基礎データ作成などの業務を行っている。なかでも特筆すべき点は、「荷積みデータの作成業務」を担当していることだ。ポラスグループでは、木造住宅の構造材を工場で機械加工し建築現場へ出荷する「プレカット事業」に力を入れており、その供給量は日本一を誇る。この加工された木材を運搬用の形に積み上げる「ロボットアーム」への指示データの一部を、渡辺さんが作成している。指示データは、長さや幅、厚みがばらばらの木材を効率よく積むため、適正な配置を行わなくてはならない。以前、ある工場でこの業務の担当者の確保に困っていたところ、ビジネスサポート課がややゲーム性を感じる作業内容に、「障害特性にマッチした仕事かもしれない」と思い、この業務を受託。いざ、渡辺さんに行ってもらうと、期待以上の成果を発揮してくれた。そして現在、渡辺さんは全国6工場のうち茨城県の工場の出荷を担当している。プレカットされた木材の日本一の供給量をサポートしている渡辺さんだが、アビリンピックの競技種目「データ入力」でも日本一を目ざし、地方大会への出場を重ねている。入力スピードは申し分なく、今後は入力の精度を高めることを目標にしている。渡辺啓仁さん渡辺啓仁さん16

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