働く広場2021年6月号
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働く広場 2021.6高橋 悠(たかはし ゆたか) 行政書士事務所にて約8年間、介護・障害福祉サービス事業所の立上げ・運営支援にたずさわった後、2016(平成28)年10月に独立開業。顧問先のうち7割以上が介護・障害福祉サービス事業所である。また、「合同会社サニー・プレイス」を設立し、小規模保育事業所B型および企業主導型保育所を経営している。社会保険労務士・行政書士高橋 悠 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼19援B型事業所の新しい方向性についてご紹介していきます。 令和3年度の改定により、「就労継続支援B型」について、基本報酬の見直しがなされることとなりました(図)。 就労継続支援B型については、従来は利用者の「平均工賃月額」に応じた報酬体系となっていましたが、今回の改定ではさらにそれを推し進め、高工賃を実現している事業所をさらに評価し、よりきめ細かく実績を反映するため8段階(改定前は7段階)の評価が導入されることになりました。 ただ、今回の改定で私が画期的と考えるのは、前述の「平均工賃月額」のみではなく、もう一つの分岐として「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系が導入されたことです。 これにより、平均工賃月額によらない固定的な報酬体系をベースとしつつ、次のような取組みを行う事業所は上乗せの加算が受給できるようになりました。 利用者の多様な働く意欲に応えつつ、就労を通じた地域での活躍の場を広げる取組みとして、就労や生産活動の実施にあたり、地域や地域住民と協 障害者の就労の場を提供している「就労継続支援事業所」においては、自らの事業所を選択してもらえるよう、各事業所において賃金(工賃)向上のための多種多様な施策を実施しています。 前回まで、工賃向上についての事業所の取組みの一部をいくつかご紹介していきました。今回は、今年度新たに示された改定(※)による、就労継続支働した取組みを実施する事業所に加算を支給 就労を続けるうえでの不安の解消、生産活動の実施に向けた意欲の向上などへの支援を充実させるため、ピアサポートによる支援を実施する事業所に加算を支給 前回までにお話しした通り、これまで、就労継続支援B型事業所については平均工賃月額によって報酬が決定されており、また利用者が事業所を選択する場合にも、工賃の多た寡かにより大きく判断されていました。 しかし、今回の改定によって、工賃を唯一の指標とするのではなく、地域とのつながりを重要視して地域住民や地元企業を巻き込んで活動してきた、またはピアサポートによる利用者への相談支援などを行ってきた(またはこれから行おうとしている)事業所についても、評価を行う方向性が示されることとなりました。 まだ新設の報酬区分・加算であるため、しばらくは事業所も自治体も手探りの状況が続くかと思いますが、事業所が利用者を集めるために提示する工賃以外の新たな項目となる可能性があるということで、今回の改定は非常に大きな意義があると考えています。【第4回】就労継続支援B型事業所の新たなサービスの方向性◯ピアサポートの 実施等の取組みの評価◯地域における協働の評価障害福祉サービスの現場から図:就労継続支援B型の基本報酬等の見直し出典:厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(令和3年2月4日)」※詳しくは厚生労働省ホームページ「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定について」をご覧ください https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00007.html

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