働く広場2021年6月号
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の利用終了者が一般就労した割合を見ると、3パターンある就労支援事業所において、一般就労を実現したのは就労移行支援事業所54・7%、就労継続支援A型事業所25・1%、就労継続支援B型事業所13・2%だ。 岡山のスピカ、大津のくれおカレッジ、これら二つの就労移行支援事業所をよく知る同全国協議会副理事長の萩はぎ原はら義よし文ふみさんは、「発達障害の医療に強いスピカ、地方都市で障害者雇用のネットワークを構築したくれおカレッジ、それぞれが強みになる特徴を持ち、毎年コンスタントに一般就労を実現していることが共通しています。就労移行支援事業所は今後、一層、一般就労の中核となるだろうが、支援のスキルになる特徴、推進力になるものが必要で、その在り方の参考になるでしょう」と話す。 私は福祉に、いろいろな分野から経営や直接的な処遇などにかかわり、参加することはよいことだと思っている。特に、障害のある人の心身には医療の役割が大きなウェイトを占めていると感じた。今回の取材を通じ、あらためて就労支援において医療の力も欠かせないと思った。訓練で家業、転居、就労継続支援B型事業所各1人、卒業生7人のうち5人が一般就労し、2人は就活中である。 卒業生29人のうち26人が一般就労という高い割合を占める。勤務先は大津市を中心にした滋賀県が多く、一部は京都市で、イオン、コープなどのスーパー、クリーニング工場、野菜工場、検査会社、介護補助、運送会社のピッキングなどの業務についているという。 「ハローワークに求人票を出す企業を職員が訪問し、うちの利用者の採用へ向けて、今後の採用予定や職種など、求人求職のパートナーとして情報交換し、連携するようにしています」と永田さん。地道な活動により地域で障害者を雇用する企業とネットワークが構築されていた。 厚生労働省は4月、就労支援事業所の報酬改定を実施した。 就労継続支援A型事業所全国協議会副理事長も務める共生シンフォニーの中崎さんは、「今回の改定は重度の人たちが働く場としてのA型事業所の維持と、一般就労をもっと進めるとしっかり加算しますというこの二つがはっきりしました」という。 厚生労働省の令和元年「社会福祉施設等調査」で、障害福祉サービス等事業所を訪問し、求人票の検索を何回も体験させ、自分で就労先を探す企業情報の取得も導入部から支援している。 また、永田さんは「もう一つ、こだわったのは住居に近い職場。通勤が心身の負担になると長続きしません」と話す。コロナ禍でバス、電車などの公共交通機関の利用を避けたい人や乗り換えが苦手な人もいて、通勤時の移動も配慮が必要である。 これまで4期の卒業生の進路状況をみると、1期生9人のうち8人が一般就労、1人が就労継続支援A型事業所。2期生9人のうち2人が自立訓練の段階で一般就労し、卒業生7人は全員一般就労。3期生9人は、1人が自立訓練で一般就労し、2人が就労継続支援B型事業所、卒業生6人は一般就労した。4期生10人は、自立おわりに働く広場 2021.6がんばカンパニーで働く柴田洋美さんがんばカンパニー施設長の水野武さん「共生シンフォニー」本部や「くれおカレッジ」が入る共生モールフロランタンにカラメルを塗る柴田さん(右から2人め)くれおカレッジの作業訓練では、実際の就労環境を想定し立ち姿勢で軽作業を行う25

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