働く広場2021年6月号
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働く広場 2021.6犯罪や非行をした者の立ち直り支援の方策のひとつとして農業も注目されています。さらに、農業のみならず林福連携、水福連携の取組が見られるなど、「農」、「福」の双方において、従来の枠組にとらわれない取組が展開され始めてきており、ビジョンにおいては、今後、農福連携における「農」と「福」のそれぞれの広がりを推進していくこととしています。 新型コロナウイルス感染症の収束がなかなか見通せない中、農福連携の現場においても、生産する農産物の売上げの減少、障害者就労施設の利用を制限され在宅での対応が必要となったなどの影響が出ているところです。しかし、外国人材が不足するなど、農業分野において人手不足が顕著となっていること、農業は屋外での作業が多く、ソーシャルディスタンスを確保しやすいことなどの状況から、農福連携が新たな働き手の確保の手段として注目されている状況もあります。そのため、コロナ禍を契機に農業法人が障害者就労施設に新たに農作業を依頼する事例や、障害者就労施設が農業に新たに取り組む事例が多数出てきていることも分かっています。まさに、withコロナ時代において、障害者の活躍の場としての農業がますます注目されるのではないでしょうか。図1 農業経営体への効果図2 障害者にとっての影響図3 農福連携を推進するためのアクション図1、図2 出典:第1回農福連携等推進会議資料より抜粋出典:農林水産省 農福連携等推進会議「農福連携等推進ビジョン」より抜粋農福連携を推進するためのアクション目標:農福連携に取り組む主体を新たに3,000創出※1 認知度の向上・定量的なデータを収集・解析し、農福連携のメリットを客観的に提示・優良事例をとりまとめ、各地の様々な取組内容を分かりやすく情報発信・農福連携で生産された商品の消費者向けキャンペーン等のPR活動・農福連携マルシェなど東京オリンピック・パラリンピック等に合わせた戦略的プロモーションの実施2 取組の促進○ 農福連携に取り組む機会の拡大・ワンストップで相談できる窓口体制の整備  ・スタートアップマニュアルの作成・試験的に農作業委託等を短期間行う「お試しノウフク」の仕組みの構築・特別支援学校における農業実習の充実・農業分野における公的職業訓練の推進○ ニーズをつなぐマッチングの仕組み等の構築・農業経営体と障害者就労施設等のニーズをマッチングする仕組み等の構築・コーディネーターの育成・普及・ハローワーク等関係者における連携強化を通じた、農業分野での障害者雇用の推進○ 障害者が働きやすい環境の整備と専門人材の育成・農業法人等への障害者の就職・研修等の推進と、障害者を新たに雇用して行う実践的な研修の推進・障害者の作業をサポートする機械器具、スマート農業の技術等の活用・全国共通の枠組みとして農業版ジョブコーチの仕組みの構築・農林水産研修所等による農業版ジョブコーチ等の育成の推進・農業大学校や農業高校等において農福連携を学ぶ取組の推進・障害者就労施設等における工賃・賃金向上の支援の強化○ 農福連携に取り組む経営の発展・農福連携を行う農業経営体等の収益力強化等の経営発展を目指す取組の推進・農福連携の特色を生かした6次産業化の推進 ・障害者就労施設等への経営指導・農福連携でのGAPの実施の推進3 取組の輪の拡大・各界関係者が参加するコンソーシアムの設置、優良事例の表彰・横展開・障害者優先調達推進法の推進とともに、関係団体等による農福連携の横展開等の推進への期待※令和6(2024)年度までの目標274 withコロナ時代における農福連携

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