働く広場2021年6月号
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働く広場 2021.6としていました。しかし、障がいのある社員の職域を広げキャリアアップさせるために、いまある職務だけではなく事務職にも職域を広げていきたいと考え、MWSの活用を検討することとなりました。 そこで、障害者職業総合センター障害者支援部門の担当研究員にMWSの活用に関して相談し、後日、MWSの活用方法についての研修を受講(4時間程度)しました。 現在は、職域開発の一環としてMWSの「文書入力課題」を障がいのある社員に活用しています。また、仕事の合間に社員自身が申請して訓練時間を確保する仕組みにしており、セルフマネージメントや、本人が成長を実感するための支援にもつなげています。(2)取組みの概要〇人材育成の対象となった社員・Aさん:19歳、精神障害者保健福祉手帳2級・勤続年数:1年9カ月・担当業務:社内便集配業務・宅配便配達業務・社内文具管理 ほか  ワークサンプル幕張版(以下、「MWS」)は、作業の体験や職業上の課題の把握、作業遂行力の向上、補完方法の獲得、セルフマネージメントの確立等の支援を行うために障害者職業総合センター研究部門で開発したツールで、現在、全国の多くの支援機関等で活用されています。当研究部門では2016(平成28)年度から2018年度にかけて、従来のワークサンプルより難易度が高く、より実務に即したものとして、「給与計算」、「文書校正」、「社内郵便物仕分」の三つの新規課題を開発し、市販化も開始しています。 現在、当研究部門では、これら新規課題も含めた、MWS等のツールが効果的に活用されるよう、教材や研修プログラムの開発も含めた伝達のための方法論を検討しています。今回は、その研究のために事例を提供いただいたDICエステート株式会社業務サポート部(東京都)の効果的な活用の取組みについて報告します。(1)MWS活用の経緯 DICエステート株式会社は、これまで障がい者雇用を着実に促進させてきましたが、雇用した障がいのある社員は、特別支援学校を卒業した知的障がいのある社員が多く、主に社内便・郵便物の集配業務や、宅配便の配達業務を職務障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門ワークサンプル幕張版(MWS)の新規課題社内便集配業務の様子〈社内郵便物仕分〉〈文書校正〉 〈給与計算〉 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、この記事ではDICグループ様で用いられている「障がい」としていますワークサンプル幕張版(MWS)の企業における活用事例〜DICエステート株式会社業務サポート部における人材育成の取組み〜1はじめに2DICエステート株式会社業務サポート部の人材育成の取組み28

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