働く広場2021年6月号
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働く広場 2021.6時にホームポジションを守らないといった、タッチタイピングの基礎がない点にあると考えたため、文書入力課題を一旦中止し、市販のタイピングソフトによる基礎練習に切り替えた。・タイピングが安定した後は、1日3ブロック〜4ブロックごとの文書入力課題を再び開始したが、前日より記録が落ちた場面では、悔しそうにする様子が見られたため、作業結果のグラフを本人と一緒に確認して、短期的なアップダウンはあっても、長期的には精度やスピードが確実に伸びていることを示して、本人が成長している実感を持てるようにした。また、感情的になると仕事の成果は上がらないため、平常心で落ち着いて取り組むよう指導するとともに、目標(作業時間、正答率)を具体的数値で表すことでモチベーションを持たせるようにした。・セルフマネージメントについて、トレーニング時間を確保するために、自分の予定のチェックはできるようになったが、業務の優先順位の判断には、まだ指導が必要であった。〇トレーニング3カ月目〜6カ月目の状況・スピードを意識することで、正答率が安定しなくなったため、時間より正確性が重視されることを、請求書作〇対象となった社員の特徴や課題・特別支援学校での学習成果により、勤怠の安定、体調管理、身だしなみ、あいさつ、言葉づかい等の職業準備性は問題ない。・担当業務に関して、指示理解、正確性、作業スピード、持続力とも問題ない。作業意欲が強く、新しい業務、レベルの高い業務に積極的に取り組む姿勢がある。・明朗な性格で他者と積極的にコミュニケーションを図ろうとする姿勢を持ち、他の社員と友好的な関係を築くことができる。・責任感が強い反面、作業の成否を気にしすぎて、本来の能力を発揮できないときがある。〇MWSを活用したトレーニングの内容・作業課題:文書入力課題・作業目標:MWSマニュアルに掲載されている一般参考値20歳代の50パーセンタイルの数値を達成目標とする。〇トレーニングを通して達成したい人物像・作業の成否を気にしすぎないよう、落ちついて作業に取り組む。・セルフマネージメント能力を高め、作業の優先順を自ら判断し、最適なタイミングでトレーニングに取り組む。・予定表を見てほかの業務との兼ね合いを自分で判断し、結果を上長に報告・確認したうえでトレーニングに取り組む。〇トレーニング開始から3カ月間の状況・開始当初は、正答率が安定せず正確性が課題となった。入力ミスの原因は、タイピング成等の会社で発生する具体的な事例をもとに指導した。また、ホームポジションでの入力が崩れてきたため指導を行った。結果、正答率は100%で安定してきたため、次は正答率を重視したうえでの作業スピードの向上を目標にした。・セルフマネージメントについて、業務の優先順位の判断は概おおむね問題なくできるようになったため、自分の判断結果を上長に適切に報告・確認ができること(報告内容が若干長いときがある)が目標となった。 DICエステート株式会社業務サポート部の担当者の方より、次のような感想をいただきました。 「MWSのOA作業を中心に活用していますが、MWSは一般参考値があるため、本人の目標を具体的に考えられる点がよいです。また、社内全体に障がい者雇用への理解や、雇用した障がい者のキャリアアップ・職域拡大の理解を浸透させていくためには、雇用した障がい者が『どのような能力を持っているか』を、このような具体的な指標も用いて知らせていくことが有効だと考えます。MWSは、そのためにもよいツールですし、企業でも活用できるツールだと考えます。」 以上のように、DICエステート株式会社業務サポート部では、MWSとその支援理論を効果的に活用しています。仕事の予定を確認する予定表※ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題の開発に関する詳細は、「調査研究報告書No.145」をご覧ください  https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku145.html ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)3おわりに29

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