働く広場2021年6月号
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働く広場 2021.61995(平成7)年設立の東京都新宿区にある「日本テクノ株式会社」(以下、「日本テクノ」)は、電力小売や電気設備保安管理、電力コンサルティングなどを幅広く手がけている。障害者雇用は、沖縄県にある「日本テクノ株式会社テクノ・サテライト・オフィス」(以下、「沖縄オフィス」)を中心に2008年から進めてきたが、2017年からは東京本社でも取り組み始めた。いまでは、全従業員1045人のうち、障害のある従業員(以下、「スタッフ」)が31人(身体障害11人、知的障害2人、精神障害18人)で、障害者雇用率は3・47%(2020︿令和2﹀年6月1日現在)にのぼる。沖縄オフィスでは、スタッフ16人が同じ部署で働いているが、東京本社で採用された9人は、各部署に点在しているのが特徴だ。管理部に5人が配属されているほかは、技術本部・保安本部・経営企画室・広報室にそれぞれ1人が配属されている。担当する業務は、おもに伝票確認やデータ入力、封入作業、郵便物や書類の仕分けなど事務補助全般のほか、部署によっては専門的な業務もあるという。東京本社で障害者雇用を始めた理由について、管理部人事課長の山やま﨑ざき亮あきらさんは「それまで沖縄オフィスに任せきりな状況でしたが、会社全体の従業員増加にともなって、さらなる障害者雇用を進める必要がありました」と説明する。初めてのスタッフ採用は2017年、本社内の呼びかけに手をあげた技術本部に、精神障害のある人が配属された。ただ当時はサポート役の社員を決めていたわけでもなく、小さな問題がいくつも出てきたという。現場から相談を受けていたのが、ちょうど同じ年に、おもに新卒社員向けとして発足した「人事課人事支援係」だった。当時係長だった山﨑さんは、全従業員のメンタルヘルスを担当する公認心理師(当時は臨床心理士)で、経営企画室に所属する谷たに口ぐち桃もも子こさんと、公認心理師(当時は産業カウンセラー)で、同じく経営企画室所属の茂しげ田た晃あき信のぶさんに相談。そのまま3人が中心となり、障害者雇用全般にかかわるプロジェクトを立ち上げることになった。山﨑さんは、まず障害者職業生活相談員と企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格を取得し、ハローワークの案内でさまざまな職場や学校見学、各種セミナーなどに参加した。いろいろな実例を見て、「事務補助であれば仕事の切り出しがしやすい」と思ったものの、各部署に声をかけると「うちは顧客情報を扱うから無理ではないか」、「複雑なシステム関係だからむずかしいかも」といった消極的な反応が相次いだという。それでも2018年に採用した精神障害のあるスタッフ2人は、山﨑さんのい事務系の部署に点在1人から採用本社内の各部署に、障害のある従業員1~5人を配置週1回の面談や情報交換会で孤立感防止やスキルアップ公認心理師による専門的なサポートも123POINT管理部人事課長の山﨑亮さん公認心理師の茂田晃信さん公認心理師の谷口桃子さんショールームには、受電設備の模型や省エネ用機器が展示されている5

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