働く広場2021年6月号
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働く広場 2021.6面を描く仕事をしていたが、2018年1月に脳出血で倒れ、9カ月の入院を余儀なくされた。退院時には通常の会話も生活もできるようになったものの、高次脳機能障害が残った。1年ほどリハビリ通院をしながら、東京都心身障害者福祉センターに週3回、2カ月間通って職業訓練を受けたという。主治医の許可を得て再就職することを決め、ハローワークで日本テクノを見つけた。面接では、職場での配慮について「記憶力が弱くなっているので、口頭で指示するときはメモをとる時間がほしい。指示は紙媒体などでもらえると助かる」と伝えたそうだ。働き始めはていねいな指示書をもらっていたが、いまは慣れてきたので、自分でメモ書きするだけで済むようになっている。中村さんは、高次脳機能障害について「自分でも症状を自覚できないところがむずかしい」と明かす。「周囲から『どこが悪いの?』といわれるほどですが、いきなりスポッと抜けたことをしてしまいます。自分でも正直、障害なのか性格なのか考えてしまうこともありますね」職場では、資材購入にかかわる取引先との書面整理や契約内容のチェック、他部署からの業務受付などを任されている。「細々とでも働き続けていきたい」と話す中村さんは、近くDTPの勉強も始めるつもりだそうだ。 広報室で働く舘たて山やま晶あきさんは、2020年12月に入社した。8年ほど前に双極性障害と診断され、就労移行支援事業所に通いながらハローワークで時短勤務ができる会社を探し、日本テクノを見つけた。面接では、以前グルメサイトで簡単な文章を書く仕事をしていたことを話し、「広報の仕事もできるかもしれないね」と配属先が決まったという。現在は各部署の制作物や社内報の校正、自社ウェブサイトや自社発行の「環境市場新聞」に掲載するコラムなどを担当している。舘山さんは「みなさんやさしくて、いつも気にかけてもらっています。しかも適度に干渉しないでいてくれるのがありがたいですね」と語る。ただし、働き始めたころは、体調管理がむずかしかったそうだ。「元気な人にとっては普通なことも、私たちにとってはハードルが高いことがいくつもあります。特に最初はたいへんな緊張感と不安感を抱えて、そこから体調を崩しそうになりました」とふり返る。勤務日数は週4日から週5日に変えたが、いまは再び週4日にしている。舘山さんは入社直後、広報室長の中なか山やま大だい志し郎ろうさんから「あなたのことは普通の新人社員と思っていますよ。ただし体調など辛いときは遠慮せず辛いと伝えるように」といわれたことも心強かったという。当時のことを中山さんはこうふり返る。「本人が勤務日数について迷っていたときも『突然休むより、最初からしっかり休んだほうがいいよ』と助言しました。私たちからすれば『この時間に、いつもいてくれる』ことが大事なのだから、体調管理を優先させるべきだと。職場のほかの部下には、『配慮すべきポイントだけは、みんなで勉強しながら気にかけて、あとは普通通りでいこう』と話していました」短日数勤務で体調を整え広報室長の中山大志郎さんコラムは「環境市場新聞」に掲載される書類の電子化作業を行う中村純子さん広報室でコラムを執筆する舘山晶さん7

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