働く広場2021年7月号
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働く広場 2021.7一いち郎ろうさん(30歳)にも、文書で質問に答えてもらった。広汎性発達障がいのある坪井さんは、以前は障がい者雇用枠で飲食店に勤めていたという。「朝はラーメン店での麵打ち、午後からは蕎麦店の厨房でしたが、休みが不定期で急な出勤などもあり、心身ともに休まらないことが多かったですね」そこで障害者就業・生活支援センターの担当者からリクルートオフィスサポートを紹介されて説明会に参加し、入社。働き始めてからは、上司や進行担当社員との距離感の近さに驚いたそうだ。「僕は、自身の思いを伝えることが不得意で、自分も相手の言葉の理解に時間がかかります。弊社では進行担当社員が『わからないことはとことん聞いていいよ』といってくれ、日々の成果についてチャットで努力を認めてくれたり、励ましたりしてくれました。言葉の一つひとつが温かく、元気をもらっています。おかげで1年後には、1日の成果が当初の平均から3倍に伸びました」坪井さんは、自己分析をしながら努力も重ねてきた。例えば、基準書を自分がわかりやすいようエクセルで独自に作成したり、審査件数のブレをなくすため細かな時間ペース配分も決めたりして、気づけるようにした。「1時間でこの件数」といった目安をつくったことで安定するようになり、いまは目標件数にほぼ毎日到達している。審査件数が伸びず悩んでいたときには、「自分の弱さ」という言葉を吐露したこともある。当時のマネジャーから「弱さではなく、自分で判断できるよい審査者になるための過程として、ポジティブにとらえよう」との言葉をもらい、いまでも朝は必ずこの言葉を目にしてから仕事に臨んでいるそうだ。 リクルートオフィスサポートでの目下の課題をたずねたところ、榎本さんは二つあげた。一つは、今後も在宅勤務者の雇用を拡大していくために、どこでどれほどの人を確保できるかという採用戦略。コロナ禍で、労働市場も変化しつつあるため見極めが必要だという。もう一つは、在宅勤務者に任せる仕事の組み合わせ方だ。「審査系業務にかぎらず、在宅で可能な業務のバリエーションを増やすことで、より個々の強みを活かした働き方を創出することを目ざしています」現在の業務を細分して見直し、チームで最終成果を出せるように考えているという。また、ワークシェアの検討も始めており、そこから新たな在宅業務を発掘できる可能性もある。今後の展望については、「進化」を求めるリクルートらしい話も出た。「今期は『未来を創造する』がテーマです。前期はコロナ禍ということもあり守りに入ることが多かったのですが、これからは攻めに転じて、会社の未来像の設計に従業員一人ひとりが加わってほしいと思っています」実は、現在の企業理念は、全従業員にアンケートを取り、そのなかの言葉を紡いでつくられたものだと、榎本さんは明かす。「リクルートオフィスサポートは、従業員一人ひとりの熱い想いによって、進化・成長を遂げてきました。いまの企業理念が従業員の言葉でつくりあげられたと同様に、これからも従業員の想いをもとに未来を創造していく会社でありたいと思います」課題と今後の展望ハロウィンは、メンバーが思い思いの仮装をしてWEB会議を行う在宅事業開発部口コミチェックグループで働く坪井勇一郎さん9

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