働く広場2021年7月号
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働く広場 2021.7 一方で、ゆくゆくは、テレワークの普及が障害者雇用のあり方に変化をもたらす可能性は大いにあると考えられます。テレワークという働き方になんらかの手応えを感じた企業のなかには、テレワークによる障害者雇用に前向きな姿勢を見せる企業も少なくないそうです。 では、障害者をテレワークで雇用するために、企業は具体的にどのようなことを考え、取り組んでいったらよいのでしょうか。 「『テレワークでできる仕事はこの程度だろう』と決めつけていたのでは、障害者のテレワークの仕事は広がっていきません。『いまある仕事をどのようにしたらテレワークという形でできるようになるか』を考えていくことが重要です。そのために、まずは現在の業務をすべて洗い出し、それをテレワークで行うためにはどうしたらよいのか、どの部分の何を改善すれば可能になるのかを考えていきます。私たちはこれを『業務設計』と呼んでいます」 田澤さんは、例として、次のようなケースをあげてくれました(図2)。 「ある製造業の企業では、すべての部署の業務を細かく洗い出すと、重複している業務や、社員が負担に感じているルーティン業務がいくつもありました。それらをまとめると、2人分の業務量となり、テレワークで実施できるような環境を整えることで、2人の障害者を在宅で雇用できるようになりました。同時に、いままでその作業に時間を取られていた社員が本来の業務に注力できるようになったことで、会社全体の生産性が大きく向上する結果が得られました」 このように、業務のあり方を設計し直しテレワークとつなげていくことが、障害者の活躍するテレワークを実現するカギだといいます。例にあげた企業では、障害者のテレワークにより積み重ねたノウハウを活かし、コロナ禍におけるほかの従業員の在宅勤務への移行もスムーズに実施することができたそうです。 と話します。 「障害のある社員のテレワークにおいても同様の動きがあったと考えられますが、一般社員よりも、さらにむずかしい状況があったのではないかと思われます。在宅勤務といいつつも、実際には自宅待機になっているケースも多くありました。社会全体としてテレワークは増えていますが、現時点では、状況に慣れることで精一杯という企業が多く、それによる障害者の働き方や雇用のあり方の大きな変化までは、まだ、途中段階というのが現状だと思います」図2 業務設計障害者が活躍できるテレワークのあり方とは出典:株式会社テレワークマネジメント作成資料11

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