働く広場2021年7月号
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働く広場 2021.7高橋 悠(たかはし ゆたか) 行政書士事務所にて約8年間、介護・障害福祉サービス事業所の立上げ・運営支援にたずさわった後、2016(平成28)年10月に独立開業。顧問先のうち7割以上が介護・障害福祉サービス事業所である。また、「合同会社サニー・プレイス」を設立し、小規模保育事業所B型および企業主導型保育所を経営している。社会保険労務士・行政書士高橋 悠 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼19改定によってこの「1日の平均労働時間」に加え、「生産活動」、「多様な働き方」、「支援力向上」および「地域連携活動」の五つの観点からなる各評価項目の総合評価をもって実績とする方式(スコア方式)に見直されることとなりました。①労働時間…1日の平均労働時間②生産活動…前年度および前々年度における生産活動収支の状況③多様な働き方…次のような取組み内容への評価・ 免許および資格の取得の促進並びに検定の受験の勧奨に関する事項・ 当該就労継続支援A型事業所の利用者を、職員(利用者を除く)として登用する制度にかかわる試験等の手続、対象者の要件および採用時期に関する事項・ 在宅勤務にかかわる労働条件および服務規律に関する事項・ フレックスタイム制にかかわる労働条件に関する事項 など④支援力向上…次のような取組み内容への評価・ 職員の研修に関する計画に基づく障害者雇用、障害者福祉その他障害者就労に関する外部研修会等の参加または外部講師による内部研修会の開催状況・ 外部研修会等への講師派遣、学会等での研究発表または実践報告の実施状況 障害者の就労の場を提供している「就労継続支援事業所」においては、自らの事業所を選択してもらえるよう、各事業所において賃金(工賃)向上のための多種多様な施策を実施しています。 今回は、今年度に新たに示された改定(※)による、就労継続支援A型事業所の新しい方向性についてご紹介していきます。 令和3年度の改定により、「就労移行支援」、「就労継続支援A型」、「就労継続支援B型」についてそれぞれ大きな見直しがなされることとなりました。そのなかでも、今回おそらく最も劇的に変化したのが「就労継続支援A型」です。 従来は利用者の「1日の平均労働時間」に応じて報酬を算定する体系となっていましたが、図の通り、今回の・ 障害者就労にかかわる先進的な取組みを行うほかの事業所等への視察もしくは実習への参加またはほかの事業所等からの視察等の受入状況 など⑤地域連携活動…地元企業と連携した高付加価値の商品開発や販売の取組みの有無、施設外就労による地域での働く場の確保等地域と連携した事業や取組みの有無 これにより、いままでは利用者の労働時間が基本報酬の算定に大きく影響していましたが、今後は「多様な働き方」、「地域との連携」など、より多角的に利用者の職場環境を整えていく必要が生じました。 こちらも就労継続支援B型同様、新たに試みられることとなった内容であるため、まだ課題は残されていますが、利用者の賃金の向上はあくまでも「労働環境の一側面」における改善であり、働きやすい環境、やりがいのある環境をつくるためには勤務時間の柔軟化や研修の機会の確保など、賃金以外の部分における改善も重要である、という方向性を示した改定内容であり、非常に大きな意義があると考えています。 全5回にわたり、おつき合いくださいまして誠にありがとうございました。 現在、障害福祉サービスの現場は大きな転換期にあります。今後、サービスを利用する障害のある方にとって、よい方向に変化していけばよいなと願っております。【最終回】就労継続支援A型サービスの新たな方向性就労継続支援A型の報酬体系の見直し障害福祉サービスの現場から図:就労継続支援A型の基本報酬等の見直し【スコア方式による各項目の評価要素】※詳しくは厚生労働省ホームページ「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定について」をご覧ください https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00007.html出典:厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における   主な改定内容(令和3年2月4日)」

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