働く広場 2021.7要にも迫られました」最も影響が大きかったのが「紙文化からデジタル文化への移行」だという。社内の紙文書廃止やネット環境の向上により、印刷業務やデータ入力作業などが大幅に縮小された。その一方で増えてきたのが審査系の業務だ。さらに、これまで外部へ委託してきた人事系の業務も内製化を進め、人事情報にかかわる手続きや管理業務の代行、発送業務なども担当するようになった。コロナ禍で紙を扱う業務が縮小する一方、リクルートグループ全体のサポート業務が増えた。また、自社内の感染対策業務もになうことになったという。全体として、難易度の高い業務も増えてきていることについて、榎本さんは「リクルートグループと伴走し、よりよいパートナーシップを目ざすなかで、業務と能力の幅を広げていくことが大事です」と話してくれた。リクルートオフィスサポートの本社で働く障がいのあるメンバー(以下、「メンバー」)2人に、文書で質問に答えてもらった。人事部人材支援グループ兼広報グループの星ほし野の健けん悟ごさん(45歳)は2012年に入社し、翌年に正社員となった。星野さんは双極性障がいがあることから、精神障がい者向けのトライアル雇用制度を利用した。1日6時間勤務からスタートし、1年かけて7・5時間勤務に延ばしたそうだ。星野さんはこう語る。「精神障がいのある先輩社員がメンターとしてサポートしてくれたほか、部内で事前に障がいについての勉強会もしてくれていたようで、最初から安心して働くことができました」最初の5年間は行政に提出する書類作成などを担当していたが、いまは社内報の作成や見学者対応、講演活動、新人研修の講師も任されている。星野さんにとっては「自分らしさを活かせる仕事」だという。「仕事の幅が広がったのは、弊社の『できることを強みに』という社風のよさのおかげだと思っています。私の場合は、前職(塾講師)の経験から人前で説明するのが得意だということを上司が見出してくれました」と、星野さん。その一方で自身が心がけているのは「障がいが悪化しないよう、自己管理を徹底すること」だ。入社後、たびたびメンタル面が悪化していたそうだが、榎本さんから「周りは変えられなくても、自分の姿勢や考え方は変えられるよ」などとアドバイスされてきた。星野さんは、日ごろのタスク管理はもちろん、仕事の状況や体調を上司にこまめに報告し、周囲の力も借りながら適切な働き方を日々模索しているという。「おかげで8年目にして、障がい起因による急な欠勤をゼロにすることができました」と教えてくれた。下肢に障がいがあり義足を使っている田た澤ざわ隼じゅんさん(28歳)は、シッティングバレーボールの選手。もともとバレーボールの社会人チームに所属していたが、祖父母の営む農園で事故に遭い右足を失った。リハビリを経てシッティングバレーに転向、東京2020パラリンピック出場を目ざして活動支援企業を探し、同じチームの関係者からリクルートオフィスサポートを紹介してもらったという。経営企画部アスリート支援グループに所属し、週の半分は多忙な部署に応援派遣されて勤務、残り半分は練習や遠征など競技活動にあてている。いまはWEB媒体の情報更新を担当しながら、練習に励む日々だという。田澤さんは、「同じ部署の人たちにはご迷惑をおかけしていると思うのですが、練習や合宿で抜けるときも気持ちよく送り出してくれますし、大会があると応援に来てくれます。競技だけでなく、仕事もさらにがんばろうと思えます。業務でのスキルアップはもちろん、目の前の仕事に真摯に取り組むこ「できることを強みに」人事部人材支援グループ兼広報グループで働く星野健悟さん経営企画部アスリート支援グループで働いている田澤隼さん田澤さんはシッティングバレーボールの日本代表選手としても活躍6
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