働く広場2021年8月号
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働く広場 2021.8ひきこもり×在宅×IT=可能性無限大!〜日本初のひきこもり者主体の株式会社の目ざす姿〜〜日本初のひきこもり者主体の株式会社の目ざす姿〜株式会社ウチらめっちゃ細かいんで代表取締役 「ひきこもり」。この言葉を聞くのは、近年では決して珍しくはなくなってきました。全国に100万人以上いるといわれるひきこもり者ですが、その実像はまだまだ広く伝わっているとはいえません。マスコミを通じて広がる「ひきこもり」のイメージは、最近でこそ弊社で働くスタッフの事例のような「前向き」なものも増えてきていますが、いまだに「得体のしれない」、「よくわからない」といったものが少なくありません。 私自身、いとこに2人ひきこもり当事者がいることもあり、「ひきこもり」という言葉に特別な先入観はありませんでした。一方で、彼らの両親も年を重ね、いわゆる「8050問題」(※)に差しかかるなかで、「ひきこもり者の就労」に関しての実情を知りたくなりました。 縁あってつながったひきこもり当事者や経験者と呼ばれる人たちと、実際に会った第一印象は、「一般の人と変わらない」ということでした。 「会話も普通にできるし、自分の考えや意見も持っている」、「内容によってはとても深い知識を備えていたり、プログラミングなどのスキルを持っていることもある。ただ、何らかの事情で『他人や社会から距離を置くこと=ひきこもること』を選ばざるを得なくなり、その結果、さまざまな生きづらさを抱えてしまっている」、「本人たちは、決して仕事をしたくないわけではない。ただ、自分が自信を失っている状態で、『そもそも自分に仕事が務まるのだろうか』、『迷惑をかけるのではないか』、『できることは何があるのだろうか』と、そんな思いのなかをぐるぐる回っている状態で、一歩をふみ出すことがむずかしい」…。そのような印象を、多くのひきこもり者と話すなかで受けました。 日本初のひきこもり者主体の事業会社である「株式会社ウチらめっちゃ細かいんで」(以下、「めちゃコマ」)を設立する前、私自身はめちゃコマの親会社でもある、社会人向けのITやビジネス教育を提供する「フロンティアリンク株式会社」を経営していました。 フロンティアリンクは一日完結型のIT・ビジネス研修をオンラインで提供しているのですが、2006(平成18)年の創業当初から完全在宅で仕事をしていたこともあり、ITであれば在宅でも、本人の気持ち次第で仕事をすることも勉強をすることもできるということが、自社の経験上わかっています。 そしてもう一つ、いとこたちはパソコンが好きでした。これはほかのひきこもり者に会って話したときも、多く見られる傾向でした。それであれば「ひきこもり×在宅×IT」で、仕事や一歩をふみ出すことがむずかしい在宅で仕事や勉強ができる仕組みを佐藤啓※8050問題:80代の親が50代の子どもの生活を支える状態をなぞらえた、中高年ひきこもりの問題2

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