働く広場2021年8月号
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働く広場 2021.81996(平成8)年創立の「株式会社グリーンテック」(以下、「グリーンテック」)は、自動車業界を中心に部品の品質管理や検査受託事業などを手がける。いまではその拠点は、北海道から九州まで国内40カ所超にあり、さらにアメリカや中国にも広げてきた。規模拡大とともに障害者雇用も進め、2020(令和2)年6月1日現在で全社員3290人(契約・パート含む)のうち障害のある社員は87人(身体障害23人、知的障害14人、精神障害50人)、障害者雇用率は2・6%となっている。グリーンテックでは、全国に散在する拠点での事業が中心であることから、障害者雇用も拠点ごとに進めてきたという。創業者である中なか島じま宗むね幸ゆき代表取締役会長の長男で、2015年から代表取締役社長を務める中なか島じま康やす雄おさんは、「急激な社員の増加により、最初は障害者雇用率を優先せざるを得ませんでした。事実上、現場任せにしていたこともあり、多くの失敗もありました」と明かしたうえで、こう話す。「あらためて会社全体として、障害者雇用を進める目的や、職場環境のあり方を明確にする必要があると実感し、数年前から本腰を入れて検討と実行を重ねてきました」2019年には全社的な方針が打ち出され、職場環境や支援体制の整備を積極的に進めたことで、部署や拠点によって差があった取組みも、足並みがそろってきているそうだ。康雄さんの弟で、管理部門の取締役を務める中なか島じま将まさ貴たかさんも「当社は、各自の技能や技術を提供していく品質管理のプロ集団だと考えています」としながら、「専門職を育てるような職場環境だと、障害者雇用はむずかしいのではないかと思われてきましたが、いまは、本人に合った仕事と職場環境で能力を発揮している社員が大勢います」と手応えを語る。これまでの取組みの経緯と現状について、本社と拠点の現場を訪問し取材させてもらった。障害者雇用をめぐる職場環境の改善検討は、社員からの投稿がきっかけの一つだったという。2017年、社長の康雄さんが「社内の風通しをよくしたい」と社内SNSを開設した。すると精神障害のある社員から「集中力をともなう作業は疲れやすいので、心身を休めるスペースをつくってほしい」という投稿が寄せられた。ほかにもメンタルサポートや職場のバリアフリー化に関する提案もあったそうだ。康雄さんがふり返る。「それまで当社の仕事のやり方や職場環境は、全社員をひとくくりにとらえて自動車部品の品質管理スマイルプロジェクト社員投稿を機に、社長が自ら職場環境改善のプロジェクトを発足課題を洗い出し、全社的に推進・支援する体制社内の好事例や現場の声を活かし、職場環境を改善123POINT株式会社グリーンテック代表取締役社長の中島康雄さん管理部門の取締役を務める中島将貴さん5

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