働く広場2021年9月号
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働く広場 2021.9ている約150種類の業務のうち、在宅でも継続できそうな業務をあげることから始めました。すると、これまで多様な業務を受託してきたことが活き、業務全体の4割程度は継続できそうだとわかりました。そこでそれらの業務をテレワークで続けることにしました」と平岡さんは話します。 例えば、スーパーやドラッグストアなど全国の販売店舗に届ける販促物の準備などは、障害のある社員︵以下、「メンバー」︶の自宅に必要なものを送付して、作業をしてもらうことで継続。また、物流管理システムへのデータ入力などのパソコン作業も、テレワークで継続することができたそうです。平岡さんはいいます。 「パソコン作業に関しては、メンバー全員が普段から行っているため、慣れていました。残りの業務時間は、漢字や算数の勉強、タイピングや英会話の練習、読書、家事、体力づくりなどの課題を行い、スキルアップの時間にあててもらいました。その日一日をどんなスケジュールで過ごすのか、自分で計画を立てて実行してもらいました(図1)。また、不安や孤立感を感じることがないよう、ビデオ通話で一日数回、ほかのメンバーやサポートスタッフと顔合わせをする機会を設けたり、 今回は、本連載の第2回(※)に登場された「株式会社テレワークマネジメント」から、知的障害のある方がテレワークを実施している事例として「サントリービジネスシステム株式会社」をご紹介いただき、同社コラボレイティブセンター課長で本誌編集委員の平ひら岡おか典みち子こさんにお話をうかがいました。 サントリーグループ各社から事務などの業務を受託している「サントリービジネスシステム株式会社」では、2021︵令和3︶年6月現在、東京と大阪の3拠点で、26人の知的障害のある方が働いています。 2020年4月の新型コロナウイルス感染症の流行による緊急事態宣言の発令時には、所属社員全員が約2カ月間のテレワークを実施。現在は、感染拡大の状況や、本人や家族の希望などを考慮し、必要に応じてテレワークを取り入れながら、業務にあたっています。 「緊急事態宣言により、全社的に出社が禁止されてしまったので、やむを得ずテレワークを始めました。準備に要した時間は一週間程度。まずは、コラボレイティブセンターで受託し第4回第4回コロナ禍を乗り越えて コロナ禍を乗り越えて ~新しい働き方を問う~~新しい働き方を問う~ 新型コロナウイルス感染症の流行にともない、テレワークなどの新しい働き方が広まってきています。「知的障害のある社員にテレワークはむずかしいのでは」という声もありますが、「サントリービジネスシステム株式会社」では2020(令和2)年の緊急事態宣言以降、一般の社員と同様に知的障害のある社員にもテレワークを導入し、成果をあげています。今回は、同社におけるテレワークの取組み事例を紹介します。クローズクローズアップアップ監修:本誌編集委員 松爲信雄(東京通信大学教授)検索働く広場 2021年7月号※ 当機構ホームページでご覧になれますサントリービジネスシステム株式会社(東京都港区)◆事業内容 サントリーグループ各社の人事、経理、総務などのバックオフィス業務の支援◆従業員数179人(2021年7月時点)◆沿革・2017年2月設立・ 2018年4月、障害のある社員と専属スタッフからなる部署「コラボレイティブセンター」を新設。特例子会社とは異なる枠組みでの障害者雇用に取り組む【取材先プロフィール】緊急事態宣言中もテレワークで就業を継続ビデオ通話でコミュニケーションをとることが、テレワーク中の励みになったという10

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