働く広場2021年9月号
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のことを思うと、いまでも感慨深い」と小川さん。 チャレンジスタッフの1期生たちも「出勤できたときは本当にうれしかった」、「いよいよだと思った」と当時のことをふり返る。 チャレンジスタッフの仕事が各社に与えたインパクトは大きい。担当のはっきりしていない仕事や、納期があいまいな仕事などがどんどん片づいていくので、一般社員の時間外労働が減った。マニュアルをつくる必要性から、業務手順を確認したり見直したりすることで、業務効率が向上し、標準化が図られていく。 当初2種類だった仕事は、1年後には28種類まで増えた。経費精算伝票や請求書など経理帳票類のチェック、営業報告書のチェック、さまざまな申込書類や契約書類のPDF化、伝票整理、各種照合作業、ファイリングなどである。「この仕事も」、「あの仕事も」と依頼される仕事が、いまもどんどん増えている。 なによりチャレンジスタッフの仕事は正確で納期厳守であるため、依頼元から大いに評価されている。「半年が経った12月ごろからものすごく仕事が増えユニット所管会社5社のうち、「東急リゾート株式会社」、「東急リゾーツ&ステイ株式会社」、「株式会社東急スポーツオアシス」、「株式会社東急イーライフデザイン」の4社がプロジェクトに参画している。 「障害者雇用のことは、まったく素人だったから」と、越田さんはまずハローワークに相談に行った。2019年12月のことである。対応したハローワーク渋谷統括職業指導官︵当時︶の中なか島じま浩ひろ志しさんに、「業務改善プロジェクトを活用しながら、障害のある方が戦力として活躍できる職場環境、体制づくりを、ウェルネス事業ユニットの所管会社共同のプロジェクトとして進めたい」と説明した。中島さんからは、障害者雇用を進めるうえでの受入れ側の心構えや、複数企業が共同で進める際の雇用管理上の留意点などについての助言とともに、「ぜひ実現させてほしい。できることは全力で協力する」という励ましの言葉が返ってきた。「チャレンジプロジェクト」がスタートした記念すべき瞬間である。 瞬く間に東急不動産株式会社の谷や塚つか哲てつ治じさん、小お川がわ靖やす志しさん、筒つつ井いはるみさんの3人が、チャレンジプロジェクトの「サポートスタッフ」として任命された。 「正直﹃まいったな﹄と思った。障害のある社員と一緒に仕事した経験なんてなかったので⋮⋮。自分にできるだろうかと不安にもなった。でもいまは、働いてみたら﹃大丈夫だった﹄と心から感じているので、取り越し苦労でしたね」と、小川さんは笑いながら当時をふり返る。 同プロジェクトで雇用された障害のあるスタッフ「チャレンジスタッフ」の1期生3人が入社したのは、2020年4月。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言の影響で、初出社は2カ月後の6月となってしまった。 「給与は100%保証されるにしても、一日も出勤せずに自宅待機になってしまった3人のことが心配だった」と谷塚さん。「元気に出社してくれたあの日進め方についてハローワークに相談コロナ禍で進めたことが大きな成果を結んだ1年働く広場 2021.9ハローワーク渋谷統括職業指導官(当時)の中島浩志さんサポートスタッフの谷塚哲治さんサポートスタッフの小川靖志さんサポートスタッフの筒井はるみさん22

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