働く広場2021年9月号
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働く広場 2021.9【事業企画業務】新規受注した業務の計画や取りまとめ。手順構築やマニュアル作成、メンバーへの作業方法の説明。ウイズユーに入社するメンバーのほとんどは、特別支援学校や障害者職業能力開発校在籍時の実習を経ているという。多い人は3~4回実習する場合もある。実習の受入れなどを担当する総務部定着推進グループの岡おか村むら雅まさ子こさんは、「長く安定した就労のためにも、本人と会社のマッチングを重要視しています。実習中は、複数の業務を経験してもらい、職場との相性や適性を見極めるようにしています」と説明する。約30校と連携し、教員や保護者向けの見学会も積極的に開催している。 ウイズユーのメンバーへのキャリア支援の大きな特徴の一つが「ベースプログラム」だ。入社後3年間、社会人としての土台づくりのための研修やOJT(職場内訓練)を実施している。本人の長所と短所を考慮しながら、1年ごとに配属部署を変えるジョブローテーションによって「柔軟性の向上」、「対応力の強化」、「新たな適性の発見」を図る。数カ月単位で担当業務を変えることもあるそうだ。また社会的自立訓練の一環として、体力づくりや余暇の過ごし方、金銭管理などをテーマにした研修も企画。社外に出て学ぶオフサイト研修やスポーツ大会、レクリエーションといったイベントも盛りだくさんだ。ベースプログラムの実施中は、一人ひとりのソーシャルスキル・ジョブスキルについて記録する「S&Jシート」を活用している。本人の強みと課題を掲げたうえで、業務への取り組み方や成果などを記入。このシートの内容をもとに年1回、本人・家族・支援センター・卒業校・会社が集まった「5者面談」でふり返る。ここで、就業と生活の両面で、本人の成長した点や努力したい点・目標などを共有している。東野村さんは「面談の後半は本人に退席してもらい、4者で今後の業務や支援のあり方などについて意見を交換します。とても有意義ですね」と話す。メンバーの対応内容などは人事システムで一括管理され、グループリーダー以上の間で情報共有することで、一貫した指導に努めている。 ベースプログラムを終えた4年目には、同期メンバーが一同に集まり、2日間のキャリアアップセミナーを受講する。神奈川障害者職業能力開発校の講師に協力してもらい、3年間の仕事を総括しながら、今後のスキル向上について学ぶ。経験を積んだ同期との再会は、新たな意欲にもつながっているそうだ。一方、本配属後のキャリア支援プログラムは、業務内容によって3コースに分かれる。コピー機のメンテナンス業務など高品質な業務を安定して行う「エキスパート(匠・熟練)」、パソコン分野などで専門性を追求する「スペシャリスト(専門性)」、多種多様な業務を習得する「マルチクラフター(多彩な職人)」だ。各部署では、そこに所属する指導員がメンバーとともに、「長期個別育成計画シート」を作成する。本人に「5年後の成長イメージ」を考えてもらい、1年ごとの計画を立てている。定期面談も毎月実施し、メンバーが安心感と目的意識を持って取り組めるようにうながす。給与制度については、入社後3年間は全員同じ給料だが、4年目からは同社独自の昇給考課シートをもとに評価され、個別に昇給していく仕組みだ。 ウイズユーでは、メンバー以外の社員は、東野村さんも含めて「指導員」の立場で、ほぼ全員が障害者職業生活相談員3年間のベースプログラム指導員の「支援力」向上本配属後のキャリア支援敷地内に設置されたプランターの管理作業(写真提供:コニカミノルタウイズユー株式会社)昨年行われたキャリアアップセミナーの様子(写真提供:コニカミノルタウイズユー株式会社)総務部定着推進グループの岡村雅子さん6

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