働く広場2021年9月号
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働く広場 2021.9の資格を取得している。もともとキャリア採用による転職組が約8割で、うち半分は福祉系の職務経験者だという。大学で福祉を学び新卒で入社した社員も2人いる。ちなみに岡村さんも社会福祉協議会からスタートして福祉作業所などを経験したキャリア採用組だそうだ。ジョブコーチ(企業在籍型職場適応援助者)の資格も持つ東野村さんは、「メンバーへの支援には、一緒に働くわれわれ指導員の『支援力』の向上が不可欠です」と話す。そして、指導員が目ざすべき姿として、二つの視点で計10項目を提示している。①メンバーの成長と事業貢献の拡大のために、新しい業務を創出できる人財として…「成長意欲がある/コミュニケーションスキルがある/業務提案ができる/実行力がある/ネゴシエーションスキルを持っている」②メンバーの社会的自立支援のためのスキル、ソーシャルスキル向上を目的に指導できる人財として…「ビジネススキルを持つ/障害に関する深い知識を持つ/多角的な視点を持つ/フォロワーシップを持つ/全社的な視点を持って課題解決に臨むことができる」指導員育成のための研修も定期的に実施。初級・中級・上級編に分けて体系化し、多角的な内容を盛り込んでいる。また、障害や福祉の専門的な知識を持つ社員や、ビジネススキルなどの能力にたけた社員も講師になり、指導員同士が学び合う機会をつくっている。社員の専門資格取得も奨励され、受験料補助などがある。岡村さんは、すでに精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士の資格を持っていたが、入社後さらに公認心理師の資格も取得。これまでの経験と専門職としての知識を活かし、障害者雇用を進めるグループ会社からの相談にも応じているそうだ。 職場もいくつか見学させてもらった。まず足を運んだのは、機械リファーブ(整備)・メンテナンス業務を行う「エンジニアリンググループ」のフロア。メンバーたちはコピー機と向き合いながら熱心に作業中だった。総務部長の五い十そ川かわ渡わたるさんが、「最近はコロナ禍の影響で、コピー機の再レンタル・販売需要が急増しています。メンバー1人で1日1台を仕上げるのが目安ですが、1日3台をこなす人もいます」と説明してくれた。もともとメンテナンス業務はグループ会社の業務だったが、2019年からウイズユーで請け負うことになった。「担当者はそのぶん別の仕事ができるようになり、グループ会社に大きく貢献しています」と五十川さんはいう。指導員でありグループリーダーも務める中なか村むら悟さとるさんは、メンテナンス業務20年のキャリアがあるが、「ウイズユーでこの業務を始めたときは試行錯誤でした」と明かす。「OJTをくり返しながら1年ほどかけて手順を固めました。最初は1台を4人で分担していましたが、1人1台のほうが責任を持って取り組むため、結局は効率的だとわかりました」作業は、A3サイズの紙に両面印刷された、とても細かい手順マニュアルに確認チェックを入れながら進める。マニュアルはいまも週1回ぐらいのペースで修正し、更新しているそうだ。「精密機械なので、大事な部分は二重三重のチェックをしています。一方で『これは無理だろう』という勝手な線引きはせず、どんどん挑戦してもらいます。機械はいろいろな壊れ方をしますが、それがメンバーを退屈させず、成長もすごく早いと思いますね」と中村さんは話す。同グループの立ち上げ時に転職してきた指導員の鈴すず木き里り奈なさんは、事務系は得意だが、メンテナンス業務はまったくの未経験。「メンバーと一緒になって勉強しながら、マニュアル作成にもかかわっています」と話す。日ごろは「わかりやすくメンテナンス業務総務部長の五十川渡さん指導員でグループリーダーの中村悟さん(左)、指導員の鈴木里奈さん(右)コピー機のメンテナンスを担当するエンジニアリンググループ7

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