「働く広場」2021年10月号
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働く広場 2021.10均一の清掃効果が期待できる器具を用いて行うことで、病院の手術室で行われるような高いレベルの衛生管理を実践していることも当社の清掃作業の特長です」と、事業運営部業務企画担当の阿あ佐さ美み弘こう介すけさんは話します。 新型コロナウイルス感染症拡大による2020(令和2)年4月の緊急事態宣言の発出以降、同社では、自宅待機や交代勤務などを取り入れながら感染症拡大の防止に努め、同時に、スタッフのモチベーションの維持や心身の健康管理などにも力を注いできました。1回目の緊急事態宣言中は、スタッフ全員が勤務扱いの自宅待機となりましたが、清掃という業務の性質上、出勤しなければ仕事ができないため、その間、コーチは、時短勤務や交代勤務で出勤を続け、清掃業務を維持するのと同時に、今後の業務の在り方について検討し直したそうです。 「接触感染を減らすためには、エレベーターのボタンやドアノブなど、手指が接触する部分の清掃を強化する 「株式会社ドコモ・プラスハーティ」は、NTTドコモグループの特例子会社として、グループの自社ビル内の清掃業務とグループ各社の障害者雇用・定着支援を手がけています。清掃業務をになうのは、おもに知的障害のある社員(以下、「スタッフ」)のみなさんです。その多くが知的障害の重度判定を受けており、5〜6人のチーム単位で、都内4カ所と、神奈川県、大阪府各1カ所で、グループビル内のオフィス、休憩室、トイレ、廊下などの清掃を実施しています。 「各チームに、健常者のコーチが加わって、スタッフの人材育成やサポートなどを行っています。人体や環境にやさしく、洗浄・消毒が可能な薬剤を使用し、個人の力加減などに関係なく、第5回第5回コロナ禍を乗り越えて コロナ禍を乗り越えて ~新しい働き方を問う~~新しい働き方を問う~ 新型コロナウイルスの感染拡大により、障害者雇用の現場でもテレワークなどの新しい勤務形態を導入する動きがある一方で、出社が必須となる職場もあります。 今回は、テレワークがむずかしい職種や業務でのコロナ禍における課題や工夫について、重度の知的障害のある方を中心に清掃業務を手がける「株式会社ドコモ・プラスハーティ」にお話をうかがいました。クローズクローズアップアップ監修:本誌編集委員 松爲信雄(東京通信大学教授)必要があります。そこでまずは、コーチだけで清掃業務にあたりながら、今後はどのような清掃活動に注力したらよいのかを検討、試行しました。同時に、自宅待機となったスタッフたちに、どのように過ごしてもらうのがよいのかについても検討を重ねました。株式会社ドコモ・プラスハーティ(東京都豊島区)◆事業内容 ドコモグループ自社ビル内の清掃業務、グループ各社への障害者雇用・定着支援◆従業員数147人、うち障害者97人(出向を含む、役員を除く、2021年6月現在)◆実績・ 2019年1月 公益社団法人全国重度障害者雇用事業所協会「障害者活躍企業」認証・ 2020年3月 経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人2020(中小規模法人部門)」認定・ 2021年3月 経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)」認定【取材先プロフィール】課題の検討に力を注いだ1回目の緊急事態宣言業務のプロセスを細かく分解するなどの工夫を行う感染対策を徹底しながら清掃業務にあたるスタッフ10

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