「働く広場」2021年10月号
13/36

働く広場 2021.10コロナ禍前から週に1回行っているヨガの動画視聴や、視覚機能の維持のためのビジョントレーニング(視覚機能を鍛えるためのトレーニング)のプリントを用意し、身体機能を衰えさせないように課題を出すという工夫もしました」と、話します。 そして、出社日には、次の自宅待機に入るための準備をすることも、大切なポイントだったそうです。「自宅待機の前日などに、自宅待機日をどのように過ごすかをコーチと話し合い、スケジュールや目標を確認しました。特に、自閉症の傾向がある場合、いつも通りの行動ができないことや見通しが持てないことに不安を感じる人が多いので、安心してもらえるような準備が必須となりました」と、阿佐美さん。 自宅待機日には、始業時と終業時に、スタッフからコーチへ、事前に立てた目標の達成度や進捗を電話で報告してもらうなど、こまめにコミュニケーションをとるようにしました。また、スマートフォンの一斉配信サービスアプリや電話を利用してスタッフのご家族との連携を深め、スタッフのフォローに活かしました。 「自宅待機や交代勤務を経験することで、自分でスケジュールを確認する姿勢が身についたり、これまで経験のなかった電話でのやりとりを習得したりと、スタッフの成長を感じています。また、コーチにとっても、いつもと違った状況でものごとに対応する力を強化する機会となったと思います」と、阿佐美さんは話します。 最後に、設立当初から同社の運営にかかわってきた、事業運営部担当部長の岡おか本もと孝たか伸のぶさんが次のように語ってくれました。 「清掃の仕事は、感染症の流行下でもみなさんが安心して働ける環境をつくる大切な役割をになっています。人の役に立つ仕事ができていることに、当社のスタッフは誇りを持っています。スタッフのためにも、感染症対策に十分に配慮しつつ、働く喜びを感じられるような業務のあり方を実現することが、私たち運営者の責任だと思っています。また、これまで当社でつちかってきたノウハウがあれば、知的障害のある人にも、清掃業務にかぎらず、事務職などの別の仕事をやってもらえる可能性があるのではないかと考えています。ほかの仕事もしてみたい、もっと成長したいというスタッフがいれば、そのチャレンジを応援していきたいと思います」自宅待機の意味をよく理解できずに生活リズムを崩したり、家族が仕事に出かけてしまい、家に1人で居ることに不安や戸惑いを感じたりするスタッフもいました。また、コーチからは週1回、電話で連絡をとりましたが、コミュニケーション頻度の少なさにも課題を感じていました」と、阿佐美さんはふり返ります。 2021年1月の2回目の緊急事態宣言発出時には、これまで検討した内容をふまえ、スタッフ、コーチともに、1日または1週間単位で交代勤務を実施しました。通常の半分の人数でも業務を遂行できるよう、感染症対策に重点を置いた特別プログラムができあがっていたことが役立ちました。また、自宅待機をしているスタッフには、次の出社日に向けての準備を整えるために課題に取り組んでもらうこととしました。阿佐美さんは、「スタッフには、生活リズムを整え、1日の目標を意識して生活をしてもらうための業務日誌(図)に取り組んでもらいました。また、有機物を残さないマイクロファイバークロス(雑巾)を配布し、業務として、自分の家でも清掃作業を続けてもらいました。また、図:スタッフが使用した自宅待機用業務日誌全員で交代勤務を行った2回目の緊急事態宣言働く喜びを感じられる業務を実現し続けたい(提供:株式会社ドコモ・プラスハーティ)11

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る