「働く広場」2021年10月号
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につながる支援を意識しています。 私は社外(前職は障害者職業訓練校に勤務)から企業内の支援に移って感じるのは、障害のある社員の個別ニーズに応えることも大切ですが、会社組織全体から見たニーズとのバランスもとても大切で、個々を活かしながら、みんなで会社に貢献できる支援に取り組んでいます。城 自己実現を応援したいと思っています。MHSWの一番の強みは、何気ない表情や視線、声のトーンなどあらゆる情報から本人の困りごとやいいたいことを引き出せること、現実的な相談の背景に気づけることだと考えます。それと、私の部署は「相談窓口」なので、まずは相談に来てくれたことを歓迎したいです。相談に来るまでの悩み、葛藤、恥ずかしさなど、いろいろな感情を持ちつつ、来てくれたことに〝ありがとう〞を伝えたいです。 また私は、「なんでも相談してください」というスタンスなので、恋愛相談でも大歓迎です。精神障害のある方が恋愛をするって、症状がよくなっている証拠だと思いますし、将来的にパートナーと一緒に住むとか子どもを持つとか、生活支援にもかかわってくると思うので、社内の相談員にいえるのであれば、ぜひ相談してほしいと思っています。談・調整、外部支援機関との連携、②知的障害者の採用と定着支援、特別支援学校との連携、実習対応、事業部からの相談・調整、③障害者の中途採用活動、支援機関向けの会社説明会、実習・トライアルの受入れ対応、などです。 現場には障害のある社員、障害のない社員がおり、そこに定着支援グループの専門職が側面からかかわり、サポートしています。担当者が一人でやりきれないところは、チームでフォローしながら対応しています。三鴨 支援職といえば、個別支援を思い描いていましたが、みなさまの業務が多岐にわたっていて、驚きました。冨賀 MHSWに社内でどんな仕事をしてもらうのがよいかが明確ではなく、役割の整理がしづらい会社もあると聞きます。弊社においても5年前から始まったばかりの社内支援で、手探りで必要な役割や体制を築いているところです。三鴨 昨年から、コロナ禍でメンタルケアの必要性がさらに増しています。 MHSWは福祉の専門職と思われがちですが、企業にも配置されていくのが望ましいのではないか、と感じます。各社のMHSWは、働きながら資格取得をしている方も多いようですね。冨賀 精神・発達障害のある方の就労も増えてきていますので、MHSWの学びの重要性は感じています。城 MHSWは、社会福祉学が基盤で、では福祉とは何かと考えると、他者への思いやり、つまり、人として社会で生きていくうえで、あたりまえのことだと思っています。 障害のある方々は、働くことのスタート地点にも立てなかったという歴史があるので、そこを支えるのは、精神・発達障害でも知的障害のある方に対しても同じだと思っています。網代 当社では、東京都と岡山県で合計7人のMHSWが働いています。城 当社は3人で、私以外の2人は、社会福祉士の資格も取得しています。三鴨 仕事をしていくうえで、大切にしていることを教えてください。冨賀 公平中立な立場で組織と、障害のある社員個人とかかわることです。それから、弊社は支援者が大勢おりますが、逆に「支援がないと障害者は働けない」というメッセージになってしまわないか、といった懸念も感じています。一人ひとりが持っている力を引き出す役割を果たしながらも、自立を妨げずに、成長仕事で大切にしていること働く広場 2021.10インターネットを利用したビデオ会議システムで、お話をうかがった22

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