「働く広場」2021年10月号
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働く広場 2021.10弱を占め、「導入有」の回答の中では「少ない身体的動作で業務ができるようなツール・設備等」と「障害者本人の安全を確保できるようなツール・設備等」の導入率(ともに9・1%)が最も高くなりました(図2)。技術革新の内容は、特殊な装置などのほか、タブレットやカーナビ、オートマチック車など日常生活で普及しているものも多くみられました。 現在、障害者が就いていない業務に障害者を配置するとしたら、どのような支障があるかは、「業務遂行を手助けする援助者、介助者が必要になる」(63・1%)と「業務上の安全が確保できない。本人に危険が伴う」(59・8%)の選択率が高くなりました。 除外率の廃止・縮小に資する取組みなどのアイディア・意見(自由記述)は、①業種以外の観点による除外率の設定、②法定雇用率の算定方法などの見直し、および③障害者雇用を行う事業主に対する支援の三つに分類されました。︵2︶企業に対するヒアリング調査 対象職種で雇用される障害者がになう業務内容、直面している課題と課題解決のための配慮や工夫の内容などを具体的に把握するため、事業所質問紙調査協力企業の人事・労務管理担当者などを対象にヒアリング調査を実施し、8社の事例分析を行いました。 対象職種の採用は、看護師や保育士など特定の免許や技能があることを前提とし、一般求 除外率制度は、2002(平成14)年の障害者雇用促進法改正で廃止されたものの、経過措置として当分の間は維持することとされ、2004年と2010年の率の引下げ後は、除外率設定が維持されています。しかし、法律的には除外率制度を廃止することとされているなかで、雇用が困難とされてきた業種でも障害者雇用に対する先進的な取組みはみられ、また「障害者とともに働くことが当たり前の社会」という理念にも合致しません。そこで、障害者職業総合センターでは除外率設定業種における障害者雇用の実態調査や諸外国の対応にかかわる情報収集を行い、除外率設定業種における障害者雇用の現状・課題・実際の取組み事例を把握し、除外率廃止に向けて考えられる対策を整理しました。本稿でその一部を紹介します。 ︵1︶事業所に対する質問紙調査 2018年障害者雇用状況報告において除外率が適用される企業から2万5700事業所を抽出し、人事管理担当者に質問紙への回答を求め、7341事業所から回答を得ました。 このうち1870事業所から、障害者が就業することが困難だと認められる職種(対象職種)の業務に従事する障害者数が1人以上いると回答がありました。対象職種における雇用管理改善は「実施無」が約6割を占め、「実施有」の回答の中では「障害者本人の安全を確保できるような工夫・改善」の実施率(26・3%)が最も高くなりました(図1)。また、対象職種の業務に関連する技術革新の世間一般の進展状況については「ない」が約4割強、技術革新の導入状況については、「導入無」が全体の約6割障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門社会的支援部門★本調査研究報告書は下記ホームページからご覧いただけます 「調査研究報告書 No.158」https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku158.html除外率制度の対象業種における障害者雇用に関する実態調査1 はじめに2 調査結果の概要28

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