「働く広場」2021年10月号
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働く広場 2021.10あり、1歳児以下のクラスでは園児を抱きかかえることが多く足腰の負荷となるため、相対的に勤務しやすい2歳児クラスを担当していました。また、対象職種の業務に関連する技術革新は、障害者の労働環境改善が目的ではないものの、作業員や周囲の人の安全、利便性に資するものであり、結果として障害のある社員の働き人に障害者が応募してきた際、必要とされる資格の有無などを考慮して行われている場合が多く、実際の配属については体力面の負担などを考慮し、本人のペースで進めやすい業務が選ばれている傾向もありました。ある保育園の下肢障害のある保育士は、3歳児以上のクラスは園児たちの速い動きについていくのが負担でやすさにつながっていました。ある警備業の企業では、モニターやセンサーを活用した遠隔・駆けつけ警備(機械警備)のシステムを採用したことにより、障害のある警備員が負担なく勤務できるようになっていました。     前述のように、現在、障害者が就いていない業務に障害者を配置する場合、「人的支援」と「本人・周囲の安全確保」の2点が支障となっており、また対象職種の業務に就くためには免許・資格などが必要となることや、警備業法などの制度の存在が対象職種における障害者雇用の課題だと考えられます。 雇用管理改善は低予算・低コストで実施できるものもあるため、具体的な取組み事例の提供や、企業に技術革新を障害者雇用にどのように結びつけ、どのような効果が得られるかなどを具体的に示すことが必要だと考えられます。 除外率廃止・縮小に対して否定的な意見が多かったことから、企業に対し、除外率廃止・縮小の必要性にかかわる説明を行って理解を得るとともに、除外率未設定業種も含めた業種間で不公平感が残らないような対応が必要だと考えられます。 本調査研究の成果として、「除外率設定業種における障害者雇用事例集ー職場での工夫と配慮ー」(※)を作成しましたので、ぜひご活用ください。※ https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai72.html◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)高度な知識・経験を要せず業務ができるような工夫・改善高度な知識・経験を要せず業務ができるようなツール・設備等少ない身体的動作で業務ができるような工夫・改善少ない身体的動作で業務ができるようなツール・設備等他人の安全を確保できるような工夫・改善他人の安全を確保できるようなツール・設備等障害者本人の安全を確保できるような工夫・改善障害者本人の安全を確保できるようなツール・設備等体調・精神面の変化が不安定でも業務ができるような工夫・改善体調・精神面の変化が不安定でも業務ができるようなツール・設備等3 まとめ14.5%8.3%19.1%9.1%15.9%8.1%26.3%9.1%23.3%6.7%0%0%20%20%40%40%60%60%80%80%100%100%19.3%34.7%17.6%34.4%20.7%36.3%18.0%36.0%18.6%36.4%66.2%57.0%63.3%56.4%63.4%55.6%55.7%54.9%58.1%57.0%無回答無回答実施無導入無実施有導入有図1 対象職種における雇用管理改善の実施状況   (対象職種障害者雇用事業所1,870事業所にかかわるもの)図2 対象職種の業務に関連する技術革新の導入状況   (対象職種障害者雇用事業所1,870事業所にかかわるもの)29

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