「働く広場」2021年10月号
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働く広場 2021.10「日本航空株式会社」(以下、「JAL」)の特例子会社として1995(平成7)年に設立された「株式会社JALサンライト」(以下、「JALサンライト」)。障がいのある社員13人を迎えてスタートさせたが、26年を経たいまでは全社員423人、うち障がいのある社員が222人(視覚障がい18人、聴覚障がい47人、肢体不自由28人、内部障がい13人、知的障がい103人、精神障がい13人)、JALと合わせた障がい者雇用率は2・67%(2021︿令和3﹀年6月1日現在)となっている。おもな業務内容は、航空券類の審査から客室乗務員・運航乗務員サポート、受付・総務や給与・福利厚生、社内メイリングなど事務サポート、カフェ運営、マッサージサービス、農作業、ネイルサロンまでと多岐にわたる。2020年4月、代表取締役社長に就任した宮みや坂さか久く美み子こさんは、JALサンライト初となる女性トップだ。長年、客室乗務員として世界を飛び回り、その後は客室本部の管理職として約1000人の客室乗務員をフォローしてきたという宮坂さん。「辞令を受けたときは『経営も知らない私がなぜ』と驚くばかりでした」とふり返りつつ、こう語る。「引き受けるからには、私のこれまでの経験も活かし、JALサンライトの企業理念である『障がいを仕事の障害としない環境をもとに、多様性を活かし、新たな価値を創造し続ける』ことを目ざそうと決意しました」実際にこの1年半、コロナ禍という非常事態のなかでも、新たな職域拡大と社員の成長をうながす取組みにまい進中だ。まずは、2021年3月に開設されたばかりのネイルサロンから紹介していきたい。JALサンライトは2018年、社内に「新たな価値創造委員会」を立ち上げた。年1回の社内公募「アイデア100出し」で集まった事業案をもとに、実現化を検討してきた。例えば客室乗務員に手話を教える「チャレンジ手話」も、聴覚障がいのある社員からの提案で始まっている。ここでネイルサロンを発案したのが、総務センター客室乗務員スケジュールグループグループ長の小お川がわさんだ。小川さんは、インターネットで情報検索をしていたところ、知的障がいのある人がブログで「ネイルを仕事にしたかったが、周囲に反対されたので趣味にしている」などと投稿しているのを見つけた。小川さんは「仕事にできるのでは」と思い、2020年度向けの企画として出してみたという。企画検討はコロナ禍で中断され、2020年夏に再開。ネイルサロン案を後押ししたのは、宮坂さんだった。小川さんは「『ちょうど私も考えていたのよ』といってもらい、力になりました」とふり返る。一方、宮坂さんは就任直後にアビリンピックの存在を知り、2019年から競技種目に加わったネイル施術の記事を読んで「これだ」と思っていたそうだ。ネイル業界の関係者に事情を聞いたり、自宅で開業している車いすユーザーを訪ねたりして、「活躍している人がいる一JALを支える特例子会社アビリンピック競技種目「ネイル施術」を業務に★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社JALサンライト様の希望により「障がい」としています社内公募「アイデア100出し」で新規事業アビリンピック種目「ネイル施術」を業務に知的障がいのある社員チームの「自走化」も123POINTテクニカルセンターに開設されたネイルサロン株式会社JALサンライト代表取締役社長の宮坂久美子さんネイルサロンを発案した小川さん(写真提供:株式会社JALサンライト)5

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