働く広場2021年11月号
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働く広場 2021.11の重要性もあらためて認識しました」と志村さんは話してくれました。一方で、すでに就労し定着支援を受けている人たちに対しては、メンタル面のサポートが中心となりました。「在宅勤務で与えられるのは、自主勉強の課題が中心で仕事がない」、「仕事の性質上、テレワークができない」など、不安の声も多かったそうです。「不安や不満となる状況を別の視点からとらえ直して、前向きな行動に結びつけられるような、気づきへとつながるような声がけを意識しました」と個別支援週計画飛内さんは話します。例えば、在宅勤務で仕事がないことに不安を持っている人に対しては、この機会をセルフケアに注力したり、スキルアップの機会にすることなどを提案し、気持ちと行動を整理するサポートをしたそうです。コロナ禍で求人数が減り、一時期は実習の機会もほとんどなくなるなど、就職活動については厳しい状況もありました。「実習は、職場環境とのマッチングのためのとても大切なプロセスなのですが、その機会が減ってしまった影響は大きかったと思います。戸惑いや不安を感じ、思うように就職活動ができない訓練生もいました」と、さらプロジェクト副理事長で、働く力教育事業本部統括本部長の安やす尾お真まさ美みさんはふり返ります。ただし、2020年の秋以降は、実際には出社が必要な業種でも、オンライン面接やリモート実習を活用する企業が出てきたことで、就職活動の機会は増えていき、結果的に、さらぽれでは、2020年度もすべての事業所で、例年と変わらない就職の実績が得られました。「あきらめずに挑戦し続けた訓練生たちのがんばりがあってこそ、得られた結果だと思います。ただし、就職後は勤務開始当初からテレワークを交えながら、週に何日かは実際に出社して業務にあたるケースも多く、働き方の変化に適応することが求められるようになってきていると感じます」と安尾さんはいいます。また、文章でのやりとりが中心となるコミュニケーションを苦手とする人は就職を見送ることがあるため、そのようなテレワークになじまない人が取り残されないよう、個々に合わせて対応方法を工夫しています。働き方の変化にともない、障害者の就労の場も大きく変わりつつあります。支援機関も柔軟に変化していくことが求められています。最後に、安尾さんが次のように語ってくれました。「コロナ禍は、今後の障害者雇用や支援のあり方を考えるうえで、大きな機会となりました。現在は、在宅訓練やテレワークの導入で見えてきたメリットやデメリットをふまえ、次の一歩へとつなげる過渡期にあると思います。障害のある人が安心して働けることはもちろん、働き方の変化に取り残されることがないよう、障害のある方、企業、支援機関の三者の努力が、ますます必要とされるのではないでしょうか」定着のためのメンタルサポートを強化コロナ禍で変化した就職活動次の一歩への過渡期に通所している訓練生と在宅訓練生が同時にディスカッションできるようなオンライン環境を用意3カ月に1回作成する個別支援計画をふまえ、週ごとの支援計画を作成して、在宅訓練にあたる。毎日の訓練終了後にはふり返りを実施し、週報に記載する(提供:特定非営利活動法人さらプロジェクト)事業所内も、3密を防ぐために、パーテーションを設置するなどさまざまな工夫を重ねた11

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