働く広場2021年11月号
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編集委員のひとことミニコラム第7回「編集委員としての心がけ、〝当事者主体〞と〝ディーセント・ワーク〞」武庫川女子大学准教授諏訪田克彦※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は諏訪田委員が執筆しています。 ご一読ください。青森滋賀大分千葉2021年度地方アビリンピック開催予定青森県、千葉県、滋賀県、大分県*部門ごとに開催地・日時が分かれて いる県もあります*  は開催終了11月~12月地方アビリンピック検索※全国アビリンピックが 12月17日(金)~12月20日(月)に、 東京都で開催されます。※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。働く広場 2021.11 本誌編集委員の松まつ爲い信のぶ雄おさんが、「キャリア支援に基づく職業リハビリテーションカウンセリング―理論と実際―」(ジアース教育新社刊)を出版した。 現在、障害のある人を含む社会的弱者の雇用・就労施策においては、医療・教育・保健・福祉・雇用の各分野の一体的で切れ目のない施策の展開と、それを支える多分野の人材の育成や確保が重要な課題とされている。実際の支援では異なる分野の専門職が、雇用・就労支援の活動基盤となる知識と技術の全体的な体系について共通認識を持つことが重要である。このため、本書ではキャリア支援の視点を軸に、職業リハビリテーションカウンセリングの理論的基盤と実践方法の全体像を明らかにし、「理論的基盤」、「個別支援の実際」、「雇用環境調整の実際」、「ネットワークと人材」の4部19章で構成。専門書ながら平易な文章で、雇用・就労支援の新時代に対応できる知識と技術の体系を習得することをうながす。B5判304ページ、2970円(税込)。 「編集委員が行く」を担当する編集委員として、これまで3カ所の企業を取材させていただいた。年1回の担当だが、私にとってこの取材は、障害のある人たちの就労をテーマにした、社会福祉の現場とつながる貴重な機会になっている。 大学では「医療ソーシャルワーク」をおもな研究テーマとしているが、前職は医療型障害児入所施設(旧肢体不自由児施設)の医療ソーシャルワーカーとして勤務し、そこで出会った人たちの「就労」や「自立」などの支援にかかわってきたことが、私のソーシャルワーク研究の原点になっている。 最近、〝ディーセント・ワーク〞ということばを知った。ディーセント・ワーク(Decent Work)とは、1999年からILO(国際労働機関)が打ち出した考え方で、「働きがいのある人間らしい仕事」と位置づけられている。その対象のなかに障害のある人が含まれており、①働く権利が保護され、②十分な収入が得られ、③適切で社会的な保護が与えられた生産的な仕事であり、④それとともに、その人にとって尊厳が保障された働き方であるかどうか、が重要な要素になっている。 なかでも④の「人の尊厳」は、ソーシャルワークの基幹原則であり、そこにこだわる本誌編集委員として、当事者視点を基本にして、ディーセント・ワークを大切にしながら、就労支援の取材を今後も行っていきたい。本紹介『キャリア支援に基づく職業リハビリテーションカウンセリング ―理論と実際―』31

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