働く広場2021年11月号
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働く広場 2021.11コーヒー業界の大手として知られる「UCCホールディングス株式会社」(以下、「UCC」)の特例子会社として2005(平成17)年に認可された「日本パーソネルセンター株式会社」(以下、「日本パーソネルセンター」)。同社はもともとUCCグループの人事部門の子会社として2000年に設立された。その後、グループの規模拡大とともに本格的な障害者雇用を検討するなか、新たな子会社はつくらず、日本パーソネルセンターのビジネスサポート部門で雇用環境を整えてきた経緯がある。日本パーソネルセンターは、人材を重要な資源と位置づけ、企業理念には「人を大切にする会社」、「人の個性を活かす会社」、「人の能力を開花させる会社」の三つを掲げる。社章も「人」を三つ重ね、真ん中がハートの形をしているデザインだ。2005年当時、同社で働く障害のある従業員(以下、「メンバー」)は20人程度だったそうだが、いまでは全従業員338人のうちメンバーが75人(身体障害22人、知的障害33人、精神障害20人)を占め、計7社をグループ適用した障害者雇用率は3・14%(2021︿令和3﹀年4月1日現在)となっている。同社設立時から一貫してかかわり、現在は常務取締役を務める大おお本もと正まさ巳みさんは、障害者雇用を進めるうえで心に留めてきた「聴覚障害のある新入社員との出会い」について話してくれた。1996年、大本さんが人事担当として在籍していたUCC近畿支社の新人研修に、聴覚障害のある社員がいて、対面販売の実習があった。本人には困難だろうと別の事務実習を用意していたが、本人から「現場に行きたい」と希望があり、大本さんが同行した。すると、対面は無理でもバックヤードで、社員とメモでやり取りしながら予想以上に業務をこなせた。大本さんは、工夫すれば現場でもできる仕事が多いことを実感したという。「それまでは、やったことがない、見たことがないという理由で、不可能だと決めつけていたように思います。障害のある従業員も、業務内容の理解・やり方を工夫すれば、必ず戦力になると思いながら取り組んできました」日本パーソネルセンターの採用は多くの場合、就労前の実習とトライアル雇用を経ている。面談時には保護者と支援機関の職員にも同席してもらい、それぞれの立場から感じる障害特性をヒアリングする。本人には、自分の障害特性(長所・短所)や配慮事項のほか、「なぜ働きたいのか」も大事な質問として聞いている既存の子会社を特例子会社に実習で見きわめ、意欲を大事に各部署にジョブコーチを配置し、社内外で連携アビリンピックを機に独自の競技会を実施特別支援学校などと連携、地域の就職率アップも123POINTパソコンを使用したWEB会議システムでインタビューを行った(写真:官野 貴)オフィス内の様子日本パーソネルセンター株式会社常務取締役の大本正巳さんジョブコーチで精神保健福祉士の村田富士美さん★4~9ページの写真提供:日本パーソネルセンター株式会社5

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