働く広場2021年11月号
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働く広場 2021.11という。実習(10日間)とトライアル雇用(3カ月間)の期間中は、7人いるジョブコーチのうちの1人と毎日20分間の面談をする。採用後は、本人がそのときどきによって相談しやすいジョブコーチに面談を依頼できる。2009年に同社で初めてのジョブコーチとなり、支援業務のまとめ役を務めるビジネスサポート部の村むら田た富ふ士じ美みさんは、「いつでも、だれにでも相談できる環境は、本人が安心して働ける大きな前提になっていると思います」と説明する。日本パーソネルセンターの職場は、シェアードサービス事業本部と業務サポート本部で大きく8部門22部署に分かれ、1人から最大46人が配属されている。業務内容は、グループ会社の人事・総務関連のサポートを中心に、印刷、納品伝票のスキャニング、データ入力、社内便や郵便物の仕分け、資材発送、経理伝票の入力、請求書の作成、FAX受注入力、コーヒーマシーンの清掃など、さまざまだ。部署によっては10項目以上の業務があり、作業手順を覚えるのもたいへんそうだが、現場で工夫しながら対応している。例えば、マニュアルは既存のものに理解しにくい部分があったことから、各自でオリジナル版を作成してもらっている。まず、現場で業務を教わりながら自由にメモ書きし、それを体系的に手書きノートにまとめ、最後はエクセルで自分仕様のマニュアルを完成させる。「自分でつくったマニュアルは忘れにくいですからね」と大本さん。またメンバーが46人在籍するビジネスサポート部では、重度の知的障害のあるメンバーも含め、だれもが作業しやすいよう手順の工夫をしている。その一つがFAX受注入力だ。顧客から届いたFAXをOCR(光学文字認識)で取り込み、日付・得意先コード・納品日・商品コード・数量・単位の数字がすべて合っていれば〇、一部間違っていれば×を入力。〇の案件はそのまま受注として扱い、×の案件は別の入力担当者が処理をする流れだ。FAX受注入力は、在宅勤務の導入も可能にした。きっかけは3年前。大雨の日が続いたある日、車いすを利用するメンバーが、雨のなかカッパ姿で苦労しながら出社してきた。その様子を見た大本さんが、「安定して働くには在宅勤務も必要ではないか」と考えた。本人の意向を聞きながらパソコン環境などを整え、天候不順の日などに在宅勤務ができるようにした。現在はコロナ禍のため、計12人が在宅勤務でFAX受注入力のほか、経費精算確定やコーヒーマシーン修理受付などの業務を行っている。なかには小学生と保育園児を抱えるメンバーや、過敏症でマスクをつけられないメンバーもいて、とても助かっているそうだ。在宅勤務が続くと運動不足やコミュニケーションの不安もあるため、いまのところ週1回は出社する形にしている。メンバーやジョブコーチのみなさんにも、WEB会議システムで話を聞いた。ビジネスサポート部の村むら橋はし拓たく弥やさん(30歳)は定時制高校に在学中、企業合同説明会に参加し、2010年に入社。いまではFAX受注入力チームの障害者班長として、ジョブコーチのリーダーと連携しながら、メンバーへの業務指示などを担当している。コロナ禍で在宅と出社のハイブリッド勤務になった当初は、メンバーの様子を電話やメールで確認するのがたいへんだった。そこでWEB会議シス強みを活かし、課題は克服マニュアルは各自で作成在宅勤務でのFAX受注入力業務。モニターを2台使い、効率的に作業が行える書類の電子化作業を行う村橋さんオリジナルのマニュアルづくりの基礎となる手書きのメモビジネスサポート部で働く村橋拓弥さん6

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