働く広場2021年11月号
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働く広場 2021.11テムの活用を提案し、コミュニケーションが大きく改善したそうだ。村橋さんは2015年から正社員になった。ちなみに日本パーソネルセンターでは、入社時はメンバー全員が時給制の契約社員からスタートし、一定の勤務日数・時間をクリアして月給制の契約社員に、その後は各自の目標達成度と所属長の推薦、役員会での本人によるプレゼンテーションを経て正社員になる。現在、障害のある正社員は18人だ。さらに村橋さんは、ステップアップの努力も怠らない。パワーポイントやエクセルの機能、プロジェクト管理能力などについて同僚に教えてもらっているほか、最近はコーヒーについても独学中だ。「UCCの社内資格取得はハイレベルなのでむずかしいかもしれませんが、コーヒーが好きなので、個人的に勉強しながら、チャレンジしていきたいです」と話してくれた。村橋さんは兵庫県「障害者雇用優良事業所・優秀勤労障害者表彰」で、優秀勤労障害者として2016年に高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞、2021年には兵庫県知事表彰を受賞している。2018年にやはり兵庫県で同理事長努力賞を受賞した、ビジネスサポート部の山やま内うち典のり子こさん(33歳)は聴覚障害がある。前職で働いていた2009年、「ワード・プロセッサ」種目で出場した全国アビリンピックで、大本さんと偶然話をする機会があり、とても印象に残っていたという。その後、退職して通った職業訓練校で同社の求人票を見つけ、迷わず応募したそうだ。2012年に入社した山内さんは、現在、正社員として名刺作成や各種印刷、デザインなどを担当しながらチームの業務をまとめている。日ごろの簡単なコミュニケーションは口話でも可能だ。ビジネスサポート部に所属するジョブコーチの山やま口ぐち友とも絵えさんによると、山内さんは入社当初に体調を崩すことが少なくなかった。原因は、趣味に没頭して就寝時間が遅くなっていたことだとわかり、家族の協力を得て改善。いまではうまくコントロールできているそうだ。山内さんにはイラストを描く特技があり、業務でもいかんなく発揮されている。社内で制作するパンフレットなどに載せるイラストやキャラクターづくりまで手がけ、「デザインの腕を磨いて、もっと会社に貢献していきたいです」と明るい笑顔で語ってくれた。経理部に所属する高たか山やま真ま実みさん(33歳)は、就労移行支援事業所を経て2013年に入社。訓練中に簿記検定2級を取得していたことで同社を紹介されたという。担当しているのは、各店舗の経費支払や社内便の仕分け、資材発注・箱詰め・郵送などだ。広汎性発達障害の診断を受けている高山さんは、「注意深く何度も見直すという自分の特性に合った、正確性の求められる業務を担当できています」と語る一方、「時間がかかるため、スピードアップが課題です」と明かす。改善法を自分で考え、いまはタイマーをセットし時間内に終えられるよう努力している。担当ジョブコーチで経理部の太おお田た智とも子こさんにも、高山さんについて文章でコメントをいただいている。「高山さんには、支払処理で一度も誤りを指摘したことがないんです」と信頼を置きつつ、成長を見守っている。高山さんは、入社翌年からアビリンピックの「オフィスアシスタント」種目に挑戦し、3回も全国大会に出場した実力者でもある。「高い技能を持った選手ばかりなので、向上心を高めるきっかけになりました。スピードや正確性など普段の業務に求められる能力を養うこともでき、参加してよかったと強く思っています」とふり返る。今年は、高山さんが指導したメンバーが全国大会出場を決めた。高山さんの今後の目標は、課題を克服しながら、できる業務を増やし、正社員になることだそうだ。 日本パーソネルセンターでは、メンバーを支えるジョブコーチ同士の連携もジョブコーチ同士で連携もビジネスサポート部で働く山内典子さんジョブコーチの山口友絵さん資格を活かし経理部で働く高山真実さん山内さんは、配布物などのデザインやイラスト作成も担当している7

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