働く広場2021年12月号
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働く広場 2021.12最終回最終回コロナ禍を乗り越えて コロナ禍を乗り越えて ~新しい働き方を問う~~新しい働き方を問う~ 新型コロナウイルス感染症の流行により、私たちの働き方や労働環境は大きく変化しました。その波は、障害者雇用のあり方にも影響を与えています。 本連載の最終回は、これまでの6回の記事から見えてくる、コロナ禍における障害者雇用の課題と今後の障害者雇用のあり方について、本誌の編集委員で東京通信大学教授の松まつ爲い信のぶ雄おさんにお話をうかがいました。クローズクローズアップアップ監修:本誌編集委員 松爲信雄(東京通信大学教授)検索働く広場 2021年6月号~11月号※前回までの連載記事は、当機構ホームページでご覧になれますーーコロナ禍により、障害者雇用にはどのような影響がありましたか?松爲 新型コロナウイルス感染症の流行が拡大して約2年。この間は、感染拡大防止の観点から、テレワークを導入する企業が増加し、テレワークに対する認識が、いまだかつてないほど大きく変化したといえるでしょう。感染拡大の影響が長期化するにつれ、このような新しい働き方のあり方は、今後も定着していく可能性が高いと考えます。 社会全体が新しい働き方の導入へと大きく舵を切る動きのなかで、障害者雇用においても、この動きを無視できない状況にあることが、これまでの連載記事から読みとれます。 第2回に登場したテレワークのコンサルティング会社「株式会社テレワークマネジメント」によると、現在は、社会全体がテレワークでの就業と雇用管理へ慣れてきた状況にあり、将来的には、テレワークの普及が障害者雇用にも大きな変化をもたらす可能性が示唆されています。テレワークを実施するためには、現在の業務を洗い出し、それをテレワークで行うためにはどうしたらよいのか、業務のあり方を再構築する必要性があることも指摘されています。 第3回には、多くの精神・発達障害のある社員が活躍している「パーソルチャレンジ株式会社」経理業務グループでのテレワーク導入事例が紹介されました。ここでは、スムーズにテレワークが導入できた理由の一つに、障害者を雇用するうえでの工夫として以前より行われてきた、業務一つひとつを作業レベルに分解し、手順、判断基準などをマニュアルなどで見える化することが徹底されていた点があげられています。このような背景があることで、テレワーク実施時にも、業務手順を詳細に見直し修正することが可能になったと考えられます。ーー障害者雇用において重要とされる﹁業務手順の分析﹂といった考え方が、テレワークの実施にも役立ったということですね。松爲 そうですね。詳細な「業務手順の分析」の有効性について、第1回でもご紹介した、企業における障害者雇用モデルの図を見ながら、もう少し詳しく考えていきましょう。この図は、障害者雇用におけるさまざまな業務の分類を表しています。このなかで一般的にテレワークが可能な仕事は、第1群や第2群の一部の仕事になり、第3群に相当する現場作業系の業務への適用はむずかしいと考えられているのが現状です。 どの業務が図のどのカテゴリーに当てはまるのか、しっかりと分類・分析し、それぞれに見合った人材の確保をすることが、障害者雇用における適切なアセスメントとマッチングを進めるうえで、重要なポイントとなります。コロナ禍においては、このような考え本誌編集委員松爲信雄(東京通信大学教授)詳細な﹁業務手順の分析﹂の有効性10

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