働く広場2021年12月号
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の働き方」といわれています。ワーカーズコープは、①働く人が出資をして組合員になること、②組合員同士の話し合いを大切にして、よい仕事と仕事おこしを進めること、③組合員一人ひとりの人間的成長と発達、そして持続可能な地域づくりを目ざしてともに働くこと、をその原理・原則としています。 人間の主体性に信頼を置いて当事者性を尊重し、個人の多様性を認め合って協同し、社会連帯の思想を大切にして地域や社会の必要に応えて仕事をおこすのです。それによって、「よい仕事」を通して人間的に成長し発達する価値観を尊重しているのです。松爲 なるほど。では、実際に協同労働で働いている人や活動の状況はどうでしょうか。田嶋 実際の活動は、じつに多種多様です。またそこで働いている人も障害のある人にかぎりません。 日本労働者協同組合連合会では、約1万5600人が働いています。そのなかには、あらゆる障害種別の人はいうまでもありませんが、さまざまな社会生活のしづらさを抱えた人たちがいます。20~30代の若者、生活保護受給者、精神障害のある人、ひきこもり経験者などに加え、高齢者、女性、専業主婦の方など、WEB会議システムを使ったオンライン取材を受けていただき、その設立の経緯と現状についてうかがいました。松爲「協同労働」とは何でしょうか。また、その活動の特徴はどこにあるのでしょうか。田嶋 協同労働とは、市民や働くものが地域で協同・連帯しながら、人と地域に必要な仕事をおこし、よい仕事を行って、地域社会の主体者になる働き方をいいます。その目的は、働きたいと願うだれもが持てる力を発揮して、地域と生活に必要とされる仕事をおこし、安心して働くことができる、よい仕事へと高めることにあります。 この目的で設立されたさまざまな事業所が参集しているのが、協同労働の協同組合です。一般的には、「ワーカーズコープ」と呼ばれ、働く人や市民が協同で出資して、主体的に経営に参加し、生活と地域の必要に応える仕事を協同でおこす協同組合をいいます。松爲 そうした働き方は、これまでの「雇用ー被雇用」という関係とはまったく異なることになりますね。田嶋 その通りです。その意味で「第3 今回は、「協同労働」という、これまでとは異なる新たな働き方を紹介したいと思い、「日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会」専務理事の田た嶋しま康やす利としさんにお話をうかがいました。また、同連合会に加盟する「センター事業団」の事業所を運営されている3人の方々に、協同労働の意味と活動働く広場 2021.12日本労働者協同組合連合会専務理事の田嶋康利さん日本労働者協同組合連合会が入るオフィス「協同労働」という新たな働き方を知る障害のある人も含めた多様な人たちの協同参加地域コミュニティの育成と併行させた活動123POINT21

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