働く広場2021年12月号
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 ワーカーズコープで働く人は、多様な就労の機会を生み出しながら、労働関係法規で権利保障されている労働者であることに加えて、出資者として事業運営にも参画します。そのうえ、持続可能で活力ある地域コミュニティの創出を目ざした活動を併行しています。 こうした新たな働き方が脚光を浴びている背景には、働くことを通して地域のなかで自分らしく生きてQOL(※)を向上させていく、ワークライフバランスやディーセントワークを志向する働き方の一つのモデルとなっているからでしょう。 協同労働の思想や原理・原則を、そのまま既存の企業運営に取り込むことはできません。ですが、持続性のある企業活動を目ざす企業文化を育成していくには、障害のある人を含めた多様な人たちに、「意義のある(と自覚できる)仕事を持ちながら地域にあって生活を享受できる働き方」を提供していくことが必要なのではないでしょうか。 ワーカーズコープは、こうした「働くことの意味」と、これを企業文化として根づかせることについて、あらためて考える機会となりました。「あじさい」や「まめの樹」さんのように、仕事の確保を基軸として展開する場合や、「和氣藍々」さんのように、地域のコミュニティセンターとして機能するための拠点としてのカフェの開設など、設立の経緯や現在の活動内容に違いがあっても、ワーカーズコープの目的や原理・原則が活かされていることを実感しました。た。設立の翌年からは、札幌市の「障がい者協働事業所」に選定されて事業を展開しています。カフェでは、精神障害のある人などが働いています。 現在、さまざまな障害にかかわる課題や困りごとなどを、地域に発信して語り合うイベントを毎日のように開催しています。また、地域の居場所あるいは篠路の街の歴史を伝える拠点としても、さまざまな催しが行われています。地域のみなさんがやりたいと思う活動も、どんどん取り入れて、地域のどんな人でも活躍できる役割や出番をつくり、地域の課題を解決できるしくみと仕事を展開しています。松爲 みなさんの活動をおうかがいすると、ワーカーズコープの事業所は、障害の有無にかかわりなく多様な人たちに仕事を確保しつつ、地域とつながるさまざまな取組みを併行していることがよくわかりました。まとめ働く広場 2021.12「篠路まちづくりテラス和氣藍々」ワーカーズコープ・センター事業団北海道事業本部副本部長、篠路まちづくりテラス和氣藍々の石本依子さん和氣藍々では音楽ライブなど、さまざまな催しが行われている(写真提供:篠路まちづくりテラス和氣藍々)※ QOL:Quality of Lifeの略。「人生の質」や「生活の質」のこと25

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