働く広場2021年12月号
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働く広場 2021.12国内メガバンクの一つ「株式会社三井住友銀行」(以下、「三井住友銀行」)の特例子会社「SMBCグリーンサービス株式会社」(以下、「グリーンサービス」)は、1990(平成2)年の設立から30年以上が経つ。おもな業務は、三井住友銀行からの受託で、①パソコンデータ入力(預金調査の回答作成・預金などの出入り表作成)、②各種書類の点検・保管、データスキャニング、③名刺・会議資料などの印刷、④行内メール便配送、⑤手形などの電話受付、⑥入金帳などの印刷・作成などだ。現在は全国8拠点に社員678人、うち障害のある社員は467人(身体障害252人、知的障害91人、精神障害124人)にのぼる。4社をグループ適用し合算した障害者雇用率は2・67%(いずれも2021〈令和3〉年6月1日現在)となっている。2018年にグリーンサービスに出向し、2020年から代表取締役社長を務める小お野の寺でら健たけしさんは、ここ5年ほどの大きな変化として「知的障害や精神障害のある社員が100人以上増えたこと」をあげ、「職場内の社員構成や、求められる業務スキルが変わりつつあるなか、さまざまな取組みを進めてきました」と話す。その軸となっているのは、2016年に定めた企業理念「CREDO(クレド:信条、約束の意味)」だ。同社のCREDOには『私たちは、仕事を通じて成長することで自立を果たし、社会の一員として胸を張れるようになることを目指します。チャレンジとチームワークを重んじ、一人一人が考え、意見を出し合い、助け合って、働き甲斐のある職場を創ることが目標です』とある。小野寺さんは、こう話す。「社員一人ひとり、障害の内容も程度も目ざすところも違うと思いますが、それぞれ仕事を通じたステップアップをうながしていきます。働きやすいだけではなく、やりがいのある仕事ができる職場を目ざしています」実際に現場では、これまで「就業支援カウンセラー配置」、「社員研修」、「職場ミーティング」、「人事制度改革」などが次々と実施されてきた。順を追って紹介していきたい。以前からグリーンサービスでは、役職者社員らに障害者職業生活相談員やジョブコーチの資格取得をうながしてきたが、2015年には新たに「就業支援カウンセラー」として専門職の採用を始めた。現在は臨床心理士5人、精神保健福祉士2人、社会福祉士1人、手話通訳士1人の計9人が、東日本と西日本に分かれて配置されている。これまで就労支援や福祉の分野で経験を積んできた人たちばか全国8拠点で業務受託就業支援カウンセラー専門職の「就業支援カウンセラー」を中心とした支援体制を整備研修や職場ミーティングが、社員の主体的な活躍をうながす人事制度改革などで、一人ひとりのキャリア支援も強化123POINT通路幅を広くとるなど、バリアフリーが考慮されたオフィスSMBCグリーンサービス株式会社代表取締役社長の小野寺健さん就業支援カウンセラー(奥、佐藤雄太さん)によるミーティングの様子5

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